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ハムスターの目の構造と視力(3/3)

投稿日時:
投稿者:USER0044

[USER0044](+♀)@ボタンマウスです.

私はこれまで、赤目というとすぐアルビノだ〜って思ってたんですが、これは間違いなんでしょうか?どうも最近そうではなさそうな気がしてきて...


アルビノと赤目ですが,最近しっかりフォローしていない内容(気の毒なのは学生ですね)なので,若干焦っています.自分の専門分野に近くて,ついこのあいだ学生相手に遺伝学関連の講義をしたのですが...

<<動物の毛色と眼の色について>>
ハムスターの毛・皮膚・眼の色に関しては,まとまった文献がない(あるかもしれないけれど,検索していない)ので,詳しいことはわかりません.よって,一般論?で逃げさせていただきます(情けない).

哺乳類(特に齧歯類)の毛・皮膚・眼の色は,大まかに言うと,「色素細胞(毛や皮膚や眼に色をつけている細胞)の中に入っている,「黄色いメラニン色素の入った顆粒」と「黒いメラニン色素の入った顆粒」の量・質および分布で決まっています.この量・質および分布は,動物の種によって異なります.

もちろんゴールデンハムスターやジャンガリアンハムスターにおいても,いろいろな毛色のバリエーション(変異)があります.毛・皮膚・眼の色の変異には多くの遺伝子が関与しています(マウスの例で恐縮ですが,数10以上の遺伝子の関与がわかっています).

突然変異の代表的なものとして,ご質問のアルビノがあります.これはメラニン色素が全くなくなる突然変異です.メラニン色素は,色素細胞中でチロシンという物質からtyrosinase(チロシナーゼ)という酵素の働きによって,作られます.アルビノでは,酵素チロシナーゼができないために,メラニン色素が全くできないのです.この酵素ができなくなるのは,Tyrと名付けられた遺伝子自体が突然変異(遺伝子レベルでの異常)を起こしているからです.

アルビノは,ヒト,ネズミ,ヘビ,ウサギ等の多くの動物種に見られます.前にも書きましたが,眼が赤く見えるのは,血液の色が透けて見えるからです.いわゆる「白ウサギの赤目」の瞳の部分をよく見てみるとわかりますが,色素が全然なくて血液の色が反映されるため,正面から見ると眼の虹彩は淡紅色,中心の瞳孔は深紅色に見えます.横から見るとほとんど透明に見えます.

Tyr遺伝子の突然変異には,アルビノの他にもいろいろ種類があります.ちなみにマウスでは今年のはじめまでに19種類知られています.突然変異の種類によって酵素チロシナーゼのできる量に差があり,毛の色がほとんど白に近くても,眼の色は「(アルビノの透けた赤と異なる)ルビー色」になったり「黒いまま」であったりします.

Tyr遺伝子以外の他の遺伝子で,毛・皮膚・眼の色を変化させるものもたくさんあります.毛色が淡い色になると,眼の色も薄くなる(マウスやハムスターでは眼の色が「ブドウ色」「ルビー色」「赤色」に見える)ものがあります.しかしながら,アルビノのように「メラニン色素が全くないため透明だが,血液の色が透けて見えるため,結果として赤く見える」のではなく,「黒目よりは色素の量が少ないために赤く見えている」のです.

実際ハムスターでもわざわざ赤目を選んでいる人もいるくらいなので、どうなんだろうって思います。

アルビノの個体は,まっしろですから目立つので,野生では天敵に見つかりやすいため,生き残っていくのが大変です.また,視覚に頼っている昼行性の肉食動物では,「まぶしくて見づらい」ために餌をとるのが難しくなります(レオ君は黒目です.アルビノじゃないですね).しかし,単にメラニン色素ができないだけで,からだが虚弱ということはありませんから,安心してアルビノのハムたちにつきあって下さい.

なお,ジャンガリアン,ロボロフスキーでおなかの毛の色が白いとか,ゴールデンハムスターの「ぶち」は,Tyr遺伝子とは無関係で,他の遺伝子の影響です.