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巣箱に必要な機能・大きさ・形・置き方

巣箱に必要な機能・大きさ・形・置き方 リード画像

ハムスターは寝る以外の行動も巣箱の中で行うため、散歩を習慣化させている個体でも、巣箱の外で過ごすのは1時間くらいで、残りの時間は巣箱の中で過ごします。
そのため巣箱が悪いと、ストレスが溜まったり、病気にかかりやすくなります。
しかし巣箱に適した商品がなかったり、設置場所を間違えている飼い主も多いです。

このページでは、巣箱に必要な機能や設置方法を解説しています。
巣箱の作り方」や「巣箱のトラブル」は、別のページにあります。

巣箱が大切な理由

巣箱は寝るための場所ですが、それだけではありません。さまざまな使い方ができる部屋です。

ハムスターは、食事やトイレ(ウンチ)、毛繕いなどほとんどのことを巣箱で行い、トレードマークのほお袋も巣にエサを溜める為に進化した器官です。
臆病で、温度変化や細菌感染にも弱く、睡眠時間が長いため、天敵だけでなく、温度変化や細菌からも身を守る砦(とりで)の役割が巣箱にはあります。
そのため、ハムスターは巣(巣箱)に固執します。

固執するため、巣箱でオシッコをするなどの分かりやすいトラブルもありますが、他に行き場所がないと妥協して住み続けてしまい、快適な巣箱を用意してあげないとトラブルに気づかないこともあります。

巣箱を理解するための用語

寝床
人間でいう布団があるところ。自分で布団を用意し、ここで寝る。
巣材
人間でいう布団の素材。ケージに敷くのは床材。同じウッドチップを使っていても、場所によって言葉を使い分ける。
巣(巣穴)
野生では地面にトンネル状の穴を掘って自分専用の巣を作る。入り口から全ての穴を巣穴といい、トイレや寝床も巣の一部。
縄張り
飼い主であっても入ってはいけないスペース。詳しい解説はレイアウトのページで
出入り口
行動の話になると、入り口、出口、出入り口と言葉を使い分けます。
野良寝
このページでは巣箱以外の場所で寝ること。多分「雑魚寝」が変化した言葉。

巣箱の大きさ(広さ・床面積)

形状や出入り口の位置が悪いとスペースが無駄になり、さらに大きなサイズが必要になることもあるため、後述の記事も読んでください。

1匹で飼う場合

ハムスターが3〜5匹が入れる広さ巣箱が必要です。眠れるではなく入っても動けるサイズ。
3匹分だと少し狭いです。しっかり飼えていても5匹分はやや広いです。広すぎると落ち着けないため、巣箱に溜めるエサや巣材の量、次回の大掃除のタイミングによっても調整します。

ペアで飼う場合

ペアで飼う場合はさらに1.5倍の広さが必要です。繁殖や子育てを考えるともっと広いサイズが必要です。

巣箱の高さ

巣箱の天井が高いと落ち着かず、低いと体が当たってしまいます。
寝床を作っても、天井に頭が当たらない高さ、足場なしでも巣箱によじ登れる低さが必要です。

特に冬はヒーターの厚みや、サーモスタットのセンサーの位置、巣箱の断熱性によって、巣材を巣箱に持ち込む量が変わるため、飼育環境や換毛具合によって調節しないと、ハムスターだけでは上手く温度調整が上手くできず、低体温症だけでなく熱中症のリスクも高くなります。

ハムスター種類ごとの巣箱の大きさ

この手の商品ってサイズを書いていないことがあり、店頭で大きさを区別するのが難しいです。

巣箱はケージのように規格があるわけではなく、野生では必要な時に自分で巣を改造しながら生活しています。
巣箱のサイズを具体的に出すのは難しいため、100均などの雑貨屋で売っているギフトボックスをいくつか買って、大きい方から使ってみるのが簡単だと思います。
ちなみにギフトボックスが巣箱として最適という訳ではありません。めんどくさがりな飼い主用の巣箱です。『ハムエッグ』では空き箱やボール紙を使った自作巣箱をオススメしています。

箱を裏返して使うため、フタは巣箱には使いません。

正方形のギフトボックスのサイズです。
これらサイズの巣箱の設置できないのなら、命の尊厳の問題になるため、ケージを買い直しましょう
巣箱にエサやウッドチップを大量に持ち込む個体は、下記のサイズでも小さいと思います。

  • 幅/奥:約18cm。高さ:約13cm。ゴールデンハムスターサイズには少し小さい。
  • 幅/奥:約16cm。高さ:約12cm。ジャンガリアンハムスターには少し大きい。
  • 幅/奥:約13cm。高さ:約10cm。ジャンガリアンハムスター以下のサイズ。
  • 幅/奥:約10.5cm。高さ:約9cm。使い道なし。

巣箱の形状

熱帯魚用のたこつぼ。避暑に良いかと思っていたけど、汚れが取るのが大変。

巣箱と聞くと、鳥の巣箱のような木の箱をイメージすると思いますが、当然、木のうろに住んでいるわけではありません。
小さい出入り口と広い居住スペースが必要なので、箱形の巣箱が必要になります。
オモチャみたいな巣箱を使わないように。必要な性能を満たせず病気のきっかけになります。

予備の巣箱やトイレを設置していると、避暑地やゴミ置き場、エサを食べる場所など、場所を使い分ける個体もいるため、ケージが広いとハムスター本来の行動をより詳しく観察できます。

直方体(長方形と正方形で囲まれた箱)の巣箱を、四角いケージの中の角に設置すると無駄なスペースができず設置しやすいです。
当然、野生では四角い場所には住んでいません。

天井(上面・天面)

巣箱の天井に登って、ケージの外を観察することがあるため、平らな方が安全です。

中を確認したり掃除しやすいように、天井の開く巣箱がありますが、開くことが分かると巣箱が安全だと思わなくなります。これはケージでも同じです。
巣箱を別の物に変えても、天井が開くことを忘れてくれず、警戒しながら巣箱を利用するため、ストレスを抱えたままになることもあります。巣箱の中は不可侵領域であることを忘れずに、絶対に覗かないようにしましょう。

底(床・下面・底面)

巣材を掘ったり盛ったりして温度調整し、巣箱が汚れるのを防ぐため、底のある巣箱はダメです。
ケージが汚れが気になる場合は、巣箱の下に大きめのストーベッドを敷きます。汚れが取れない、もしくは掃除しづらいケージが根本的な問題です。

巣箱の中で事故が起こったときや、病気の時も、巣箱の底がないと簡単に中を確認できます。集団飼育していると、巣箱の中でケンカすることもあります。

また底があると、出入り口が地面(床)より高くなることもマイナスになります。巣穴は地面に掘った穴なので、潜る(くぐる・もぐる)ように巣箱に入れるようにします。

壁(側面)

前面と片側の側面が壁、背面ともう片側の側面に出入り口があるのが、ケージの中に配置しやすいです。
臭い付けのために体を擦りつけたり、巣箱に詰め込んだエサや巣材で壊れない強度は必要です。

巣箱の重さ

巣箱が重いと、巣箱が動いたり傾いたりすることが防げますが、巣箱が動かないとより大きなトラブルを見逃してしまいます。
底がない巣箱を薦めているのも、ハムスターが中で動くと巣箱を動かしやすいからです。

巣箱の強度

ハムスターが巣箱の上に乗って外を観察したり、囓ることがあるため、簡単に壊れれない硬さが必要です。

地震でケージが落ちた場合に、巣箱と巣材で保護できる適度な硬さと柔らかさが必要です。金属や複雑な形状をした巣箱だと、巣箱ごと落ちたときにケガをしてしまいます。シェルターの役割があることを忘れずに。

巣箱に適した素材

臭いがしないとか有害物質が発生しない、誤飲すると危ないなど、書き出すと切りがないので常識の範囲内で。

  • 巣箱の大きさだけでなく温度によっても、ハムスターが自分で巣箱を加工することあるため、囓って簡単に壊せるが、そこそこ強度のある素材が適している。
  • 出入り口の大きさだけでなく、ヒーターの配線、サーモスタットのセンサー、通気口など、巣箱に穴を開けた方がよいこともあるため、飼い主が加工しやすい。
  • ヒーターの熱で変形しない。溶けない。
  • 乾燥や湿気に強い必要がある。ハムスターは汗をかかないですが、息やエサの水分から水分が出ます。私が実験した結果では、ヒーター熱で湿度が20%から100%まで変わりました。
  • 汚れていることが分かりやすい色。
  • カビやダニが発生しやすいため、使い捨てにできるか、ツルツルで洗剤に強い必要がある。
  • 換毛に失敗しないよう、光が透過しない(透明ではない)。
  • 保温性が高い。夏はあまり重要ではない。
  • 遮音性が高い。巣箱の中まで音が聞こたり響くと、夏でもウッドチップを大量に詰め込もうとします。

市販の厚紙製の組み立て式巣箱とゴールデンハムスター
この写真は市販のペット用品です。実用的にすると可愛くなくなるのがペット用品です。

紙は水分や汚れが付きやすく、強度も弱いため、使い捨てすることが前提になります。
ハムスターに快適にすると、カビやダニも発生しやすいため、使う前に水拭きした後に天日干しして、汚れたら捨てましょう。

紙を使った組み立て式の巣箱が、忘れた頃に販売されていることがありますが、巣箱としては小さくランニングコストが高くなるため、すぐに終息商品になってしまいます。

ボール紙(厚紙)は加工は簡単で、断熱性がないため熱が籠もりにくいです。ボール紙を使うのなら夏だけにして、早めに交換しましょう。
段ボールは加工も簡単なまま紙の強度を高め、断熱性も高いためヒーターの熱が逃げづらいため、冬にも最適です。

巣箱というと、鳥の巣箱をイメージしてしまうためか、ハムスターに限らず木製の巣箱は多いですが、その割に適した商品は見たことがないです。

工作が得意なら自分でも作れる所は良いのですが、染み込んだ汚れが取れにくく、水洗いやヒーターの熱で曲がったり割れることもあり、使い捨てにするにはもったいないです。
木を接着剤で貼り合わせた合板は、値段が安く強度もありますが、囓るとどんな影響があるか分からないため、ペット用品には使えません。市販の巣箱は安い端材の様な木が使われていることが多いです。

陶磁器

食器のようながツルツルした物が陶器で、植木鉢のようなザラザラした物を素焼きといいます。

たこつぼタイプや、土管タイプ、巣箱風の物など、ペットショップでもいろいろ売ってます。
加工は実質できず、陶磁器はオモチャのような物が多く、素焼きは汚れが取れにくいです。
素焼きのザラザラで、爪が削れやすいという話を聞き一時期使っていましたが、ほとんど変わらず、根本的には過長爪になる飼い方が問題です。ごまかしは良くないです。

ガラス

割れると危ないというイメージがあるだめか、ガラス製の巣箱は見たことがないですね。
透けないガラスなら陶磁器より良いと思うのですが、ペット用品だと値段の高いケージにしかガラスは使われていません。

プラスチック・アクリル

プラスチック製の巣箱とトウモロコシを食べるロボロフスキーハムスター
飼育セットに付いていた巣箱です。出入り口が2つありますが、サイズが小さく湿気で中がベトベトになります。

プラスチックは量産しやすいため、昔からあるけど巣箱には使えない物が多いです。
アクリルは木と同じくらい加工は楽ですが、傷が入りやすく静電気も発生しやすく、細菌など目に見えない汚れが付きやすいため、通気性が問題になる巣箱となると、毎回ではなくても使い捨てにした方が良いです。
ちなみにハムスターが歩く毛玉なので、プラスチックと擦れると静電気が発生するため相性は悪いです。下敷きで髪の毛を擦ると立つ現象と同じです。これはケージや回し車にも言えることです。
いっそのこと、弁当箱を裏返して使った方が衛生的です。

金属

アルミ、ステンレス、鉄など。

鉄は錆びるため塗装が前提になるので論外です。鉄はケージにもあまり使われなくなりました。
ステンレスは安全なのですが加工が難しいため、ペット用品では犬や猫のエサ皿くらいにしか使われていません。
アルミは安く加工が簡単なのでペット用品にも多いです。囓ると危険で、プラスチックでも角にぶつかって皮膚がめくれたりとケガをするため、板を曲げただけの単純な製品は使わない方が良いです。アルミは熱伝導率が良いのも特徴ですが、調理するわけではないため、気温に左右され実質ほとんど変わらず危ないだけです。

巣箱を設置する位置

ケージのレイアウトで紹介している、巣箱をケージの最奥に配置するレイアウトです。巣箱の出入り口の位置も参考にしましょう。

ケージの中で飼い主から最も遠い場所に巣箱を置きます。
野生でも寝床は巣穴の最深部にあり、ケージの扉から手を入れて最も手が届きにくい場所は、ハムスターにとっても最も安全な場所だからです。いくら懐いても、ハムスターにとって人間は天敵だということを忘れないように。

巣箱の機能より飼い主から最も遠い場所を寝床の第一候補に選びます。当然、飼い主から丸見えだと使ってくれません。ロボロフスキーハムスターのみ、温度を最優先にするようで、冬以外は野良寝しやすいです。
ケージのレイアウトのように擬似的に巣穴を作ってあげれば、さらに寝床の位置が安定します。

出入り口の大きさと数

ハムスターに限らず地面に巣穴を作る動物をペットとして飼っていると、小さく遠い出入り口から入り、大きく近い出入り口から出ます。
しかし、最初から巣箱に出入り口が2つあると、巣箱を安全だと思ってくれないことがあるため、まずは入り口用の小さい出入り口だけにして、よく慣れてから2つ目の出入り口を作ります。

小さい出入り口を入り口として使うのは、本能的なことで、天敵に後をつけられないためです。
そのため遠回りでも狭くても通ろうとするため、ほお袋にエサが詰まっていても、引っかからない程度の狭さが必要です。これは途中に通る経路(トンネル)も同じです。また入り口側の出入り口は、高さを控えめにし幅を広くして、隙間に潜るような感じにしても良いです。

出口になる出入り口は、エサ場(エサ入れ)へのショートカットや換気用です。キャベツなど大きなエサを持って帰るときにも使うことがありますが、寒いときは巣材で閉めきってしまうこともあり、季節や飼育環境によっては使わないこともあります。
出入り口の大きさは、ほお袋が満タンでも楽に出入りできるくらいです。

両方の出入り口は飼い主からの死角にあり、必ず飼い主側に向かないようにすること。そうすることで、巣箱の中に光や風を入りづらくする目的もあります。

出入り口と寝床の位置

赤い場所は、外から見えてしまう部分です。

イラストの赤い部分は、実質デッドスペースになり睡眠には使いません。小さい巣箱では、安心できる場所がないことも分かると思います。

巣箱を設置する位置の通り巣箱を設置すると、巣箱の中でも最も奥になる、右下の隅が寝床になります。巣箱の中、ケージの中で1番安全な場所です。
またこの場所が、巣箱の中やケージの中で、最も暗い場所になります。

寝床から動かずエサを食べるため、出入り口から遠く寝床にすぐ近くの、左下がエサ置き場です。2番目に安全な場所です。

寒さ対策、暑さ対策

冬はペット用ヒーターを使い、夏は人間用のエアコン(クーラー)を使い、ケージではなく巣箱の温度を調整します。
巣箱が快適だと体が冷えづらく自律神経が乱れにくくなります。巣箱の温度を適温にし、さらに寝床作りをしやすい飼育環境だと、病気になりにくくなります。
ここで説明すると記事が長くなりすぎるため、ヒーターの設置適した温度を読んでください。