ハムスターの餌(穀物・油脂類)
穀物
ヒエ、アワ、キビ、トウモロコシ、米、小麦などの稲科(イネ科)の種子を穀物といいます。
マメ科の種子も含むこともありますが、穀物の話になると栄養価の話になることが多いので、「穀物(こくもつ)」「穀類(こくるい)」などと言い、イネ科の植物だと分かるようにしましょう。また、穀物も種子ですが、「種子類(しゅしるい)」とは、絶対に言わないようにしましょう。ハムスターの話だと、ヒマワリの種と間違えられます。
穀物は、人間も含む多くの雑食動物の主食で、脂肪分が少なく炭水化物が多いのが特徴で、ハムスター用のペレットやミックスフードの主原料になっています。また、古米などが流通するように、保存方法が良ければペレットより長持ちします。
ハムスターは草食に近い雑食動物で、食物繊維を栄養に変えることができるだけでなく、穀物の外皮(殻・皮)を食べて、さらに食物繊維や微量栄養素を吸収できるため、他の動物より無駄なく利用しています。そのため、ペレットには糠(ぬか)や、ふすま(小麦の外皮)などの、糟糠(そうこう)を入れている物があります。しかし、加工され風味が落ちていたり、見た目の悪さを隠すために剥いた物が混じっていることもあるので、できるだけ皮付きの穀物を与え、無理なく食べてもらった方が、心身とも健康になれます。
人間用に売られている、「五穀」や「十穀」を与えるという方法がありますが、健康ブームに便乗した怪しい物があったり、穀物の外皮を食べるといった、野生での行動や栄養補給方法から外れるので、与える意味がありません。また、人間などの他の生き物の食べ物の成分表を参考にする場合は、外皮が含まれておらず、ハムスターが食べるとさらに健康的な食べ物だという、フィルターをかけて読み取る必要があります。
穀物の見た目を良く見せる方法は、洗う(傷みやすくなる)、磨く(傷みやすく、食べるところが減る)、剥く(傷みやすく、与える意味が無くなる)、着色などをする(論外)などあり、そのような方法で加工された物があります。穀物の皮(殻)も食べ、繊維質や微量栄養素を補っているハムスターの食性には、バランスの悪いエサになる可能性があります。そのため、不揃いだったり砂が付いていても、無加工の物が良く、汚れが気になるのなら、与える前に拭いてから与えましょう。しかし、砂を使って歯を削るという話もあるので、ピカピカにする必要はないと思います。
エン麦やソバの実などの外皮がとがっている穀物は、ほお袋を傷つける可能性があるので、それらを含んだミックスフードも与えない方が良いです。また、穀物を食べると結石ができやすくなるので、ヒマワリの種やミルワームなどを与えて、栄養のバランスだけでなく、結石ができることを防ぐ必要があります。
油脂類
「油種子」と書かれることもあり、脂肪やカロリーが高いのが特徴ですが、良質なタンパク質やビタミンなども含まれています。
肥満の理由になると、ヒマワリの種を全く与えてない飼い主もいるようですが、脂肪は動物にとって大事な栄養なので植物が作り、安全で利用価値が高いから人間がわざわざ栽培している、大切な栄養を含んだ食べ物です。また、ハムスターが主食とする穀物だけでは結石を作りやすいので、適度に与えていると防ぐことができます。しかし与えすぎると、肥満だけでなく、下痢や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の原因になり歯が折れたりするので、与えすぎは禁物です。
ハムスターと言えば、ヒマワリの種というイメージがありますが、ハムスターが何を食べているのか分からず、ハムスター用のエサがないころ、オウムに与えていたヒマワリの種を与えると、よく食べたという業者さんの体験から、そういったイメージができたようです。分かりやすく言うと、油脂類は手軽に高い栄養を摂取できるので、栄養状態が悪いと必要以上に食べ、悪循環を作るということです。
カボチャの種などもよく食べますが、ハムスターは節約上手なので、栄養状態が良いと油脂類を与えすぎても、食べずに溜めるのが本来の姿です。ゴールデンハムスターはそんな行動が分かりやすく、エサが適切なのかなどのバロメーターにもなります。
穀物と同じように、殻(から)を食べて食物繊維や微量栄養素を補給するので、剥いた物は与えないようにしましょう。太りやすい(栄養になりやすい)ということは、細菌なども含め他の生き物が欲しがる栄養だったり、変化しやすい(傷みやすい)栄養で、それを防ぐために固い殻が付いています。
さすがにピスタチオなどの堅い殻は食べませんが、ヒマワリの種ならけっこう、カボチャの種ならほとんど外皮を食べます。
ハムスターは、中身を先に食べて後で殻を食べることが多く、殻を溜めることもあるので、直ぐに捨てないようにしましょう。必要ないと思って殻を捨ててしまうと、殻を食べたいために中身を無理に食べることもあります。ケージの掃除をやりすぎると、ストレスだけでなく食生活にも影響が出るということにもなります。