野生のハムスターに関する先行文献 2

野生のハムスターに関する先行文献 2
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- 山登魚
前トピックが長くなったため、一旦区切りを付け、新たにトピックを立てさせて頂きました。
さて、早速ですが『ハムスター 飼育・繁殖・ショーのための完全マニュアル』を一読しましたので、内容を共有させて頂きます。
この本は、イギリスのハムスター愛好家協会(National Hamster Council、略称NHC)の会員であり、ショーの審査員でもあるジミー・マッケイ氏が、1991年に出版した飼育書です(翻訳版は2001年)。
ショーというのは、主催団体が理想とする美しいハムスターを審査、表彰する品評会のことです。
この飼育書は、ショーに出展するための、血統がよく優秀なハムスターの作出を目指す愛好家を主たる読者として想定しています。
冒頭のハムスターの歴史に関しては、原典を調査し、集めた情報の詳細が事実であることを確かめるため、歴史に関わってきた人々に直接尋ね、それが不可能な場合には近い親戚や同僚の人々から話を聞くよう努力を重ねた、との記載があり、かなり時間を掛けて正攻法で調べた力作であるといえます。
実際、ゴールデンハムスターの歴史について、マッケイ氏が30年前に集めた資料と同等かそれ以上のものを自分に集められるかと問われると、そんな自信は全く無いです。
当時証言できた方は既に亡くなっているでしょうし、自費出版の本は当時から入手困難で、その他の書籍や論文についても現在は散逸している可能性もあります。
まずは、アハロニ氏以前の発見についての話です。
1797年、医師アレキサンダー・ラッセル氏がその著書"The Natural History of Aleppo"第2版の中で、彼(または彼の死後第2版を発行した弟パトリック)が解剖中のゴールデンハムスターを目にし、観察した内容が書かれていました。
この時はまだクロハラハムスターの一種であると思われていました(巻末の関連書籍一覧には1794年と記載されています)。
1839年、ロンドン動物学協会のジョージ・ロバート・ウォーターハウス氏が、シリアのアレッポから入手したゴールデンハムスターの標本を同会に提出し、"新種"のハムスターであるとして、学名が付けられました。
その標本は、本書が発行された1991年現在もロンドン自然史博物館に展示されているとして、写真も掲載されていました。
巻末には、該当のものかどうかは分かりませんが、動物学協会の論文(1934,1947)と、自然史博物館の書籍(1980)が載っていました。
1880年、アレッポの総領事ジェームス・ヘンリー・スキーニ氏が、アレッポ勤務時代に捕獲・繁殖させていたゴールデンハムスターのコロニーをスコットランド(エジンバラ)の自宅に持ち帰り、このコロニーは30年以上存続しました(巻末にスキーニ氏の著書は見つかりませんでしたが、イギリスの研究機関の書籍はいくつかあったので、その中に書かれているのかも知れません)。
続いて、アハロニ氏に関する話です。
1920年代の後半、エルサレムのヘブライ大学寄生虫学準教授(後に教授)であったソウル・アドラー氏は、研究用の動物としてチャイニーズハムスターを使っていましたが、この種は繁殖が難しく、原産地からの輸入に頼らざるを得ませんでした。
アドラー氏はウォーターハウス氏の論文を読んでおり、新しい研究用の動物としてゴールデンハムスターを入手したいと考え、同大学動物学教授で動物博物館の責任者であったイスラエル・アハロニ氏に依頼しました。
アハロニ氏はこれを引き受け、1930年に、現地人ガイド(ジョルジウス)とともに、シリアでハムスターの調査を行いました。
この詳細については、1942年に出版された彼の著書“Memoirs of a Hebrew Zoologist“に記されているとあり、以下の内容がそれをまとめたものと思われますので、そのまま引用します(引用が多く問題がある場合は、管理者様にはお手数をお掛けしますが、削除をお願いします)。
引用:
1930年4月12日、村長の指示で小麦畑の周囲にハムスターを探す穴を掘る作業が始められ、現地の村民が2.5mの深さまで掘ったところで、 雌1頭とまだ目も開いていない子11頭がいる巣が発見された。巣を丸ごと(子や母親もいっしょに) 木箱に移したとき、恐ろしいことが起こった。 母親が子の頭を咬み切り、殺してしまったのである。
これを目撃したジョルジウスは、残りの子を助けるため素早く母親を引き離し、母親をシアン化物入りのビンに入れて処分した (アハロニは1930年4月27日と29日にも別のゴールデンハムスターを捕獲しており、その雌標本3体はベルリン動物博物館に展示されている)。
1頭の子は逃げてしまったが、残りの9頭はアハロニと妻の手でうまく育てられた。
この9頭はヘブライ大学のハイン・ベン・メナシェン博士の手に委ねられ、スコパス山にある大学の動物繁殖センターに移されたが、 ケージの床が木製であったためにハムスターがケージをかじり、翌日にはすでに5頭が逃げてしまっていた。
逃げたハムスターは、1頭も生きたまま回収できなかった(アハロニ教授によると、雄3頭と雌1頭が残ったことになっているが、これとは矛盾する報告も存在する)。
しかし、残されたハムスターたち(以後は乾草を詰め込んだ、大きなワイヤーメッシュケージで飼育された)は1年もたたないうちに150頭にも増えた(p.18)。
諸説あり、という但し書きはありますが、この内容を正しいとするならば、アハロニ氏が巣から取り出したのは、メスと12匹の仔ハムでも、妊娠した雌のハムスターでもなかったということになります。
動物学の研究をされている方々も、現在飼育下にあるハムスターの祖先が何匹であったとしても自身の研究テーマに影響はないため、直接原典は確認していなかったということでしょうか。

野生のハムスターに関する先行文献 2
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さらに、アハロニ氏以降、野生のハムスターを捕獲した情報についての部分も、以下に引用します。
引用:
他にも、アメリカにはマイケル・マーフィー (アメリカ人)がアレッポ地域で捕獲した13頭のゴールデンハムスターのうち12頭 (雄4頭と雌8頭)が、1971年5〜6月に持ち込まれている。(中略)その子孫たちは今も、メリーランド州ベセズダにある国立衛生研究所で繁殖に供されている。
また、1978年には別のアメリカ人 (ビル・ダンカン)がアレッポ地域で5頭のゴールデンハムスターを捕獲し、2頭の雌をテキサス州ダラスの南西部医学校に連れ帰っている。
さらに、1980年にも、国立乾燥地農業研究センター (シリア)でげっ歯類対策に取り組んでいた研究員によって、野生のゴールデンハムスター2頭が発見されている。残念ながらこの2頭は、捕獲前にネズミ用の毒餌を食べていたため、捕獲後間もなく死亡した。
この研究員は1982年にも同じ場所で別のペアを捕獲したが、雄はすぐに死んでしまった。雌はイギリスに持ち込まれたが、子は生んでいない(おそらく高齢であったため)。ハムスターに関する書籍の大部分には、現在飼育されているハムスターはすべて1930年に発見されたハムスターの直系子孫であると書かれているが、上記の資料より、1970年代やそれ以後に捕獲されたハムスターも祖先として貢献していることが明らかとなった(p.21)。
この「上記の資料」について、巻末にはマーフィー氏やダンカン氏による著書は見つからなかったのですが、彼らが寄贈したとされる研究施設や医学校に記録が残っている可能性があり、アメリカの研究機関の書籍もいくつか掲載されていました。
事の真偽もさることながら、原典には孫引きでは得られない情報が書かれていることもあり、できればこれらの書籍も図書館で探してみたいと思います。
なお、1997年〜1999年に19匹が捕獲されたという情報については、この本の発行後の話ですので、ここでは確認することができませんでした。
以上の内容が全て正しいものとする前提で、ここまでに分かったことをまとめると、少なくとも約100年前には、ゴールデンハムスターの生息域は農業地帯になっており、草原で得られる野草や種実類、昆虫類だけでなく、畑で採れる小麦類も食料とし、それ故に害獣として駆除の対象となっていました。
さらに、ハムスターの生態として、以下の記述もありました。
引用:
ハムスターは夜行性で夜間に活動すると思われているが、実際には薄明薄暮性で、夜明けや夕暮れに活動する(p.31)。
ガッターマン氏の論文が発表されたのは2001年で、その10年前に、既にゴールデンハムスターが夜行性であることを否定していたことには驚きました。
引用:
ハムスターは低温には比較的強いが、温度の急激な変化にはきわめて弱い。逆に、冬の気温が0℃前後で飲料ボトルが凍るほど寒いハムステリー(飼育小屋または飼育部屋)でも、温度変化がなく良質の敷料(床材)が十分に与えられていれば、1頭も冬眠せずに子も生まれ育つ(p.166)。
もっとも、この本では(繁殖を目的として)推奨される室温は年間通じて18〜20℃、療養中は23〜25℃に設定することとされています。
飼育方法については、本トピックの主旨からはやや外れますが、マッケイ氏やその先輩会員方の長年にわたる経験に基づく内容になっていて、大変興味深いものがありました。
具体的には、30×30cm(繁殖用は30×40cm)以上の小さなケージを多数収めた、スライド式またはキャスター付きの棚をハムステリーに設置し、照明やヒーターはタイマーやサーモスタットで設定するなど、厳密に管理した飼育環境を基本としていて、巣箱は必須ではなく(この辺りはブリーダーらしい飼い方かと)、床材はカンナクズを2cm敷くとしていました。
エサに関する情報も多く、小鳥用のミックスシードを独自に配合したものやミルワーム(8℃で管理とのこと)、安全に食べられる野草や種実類が紹介されていました。
さらに、安楽死に関する記述があったのは、ヨーロッパならではだと思いました。
30年前のイギリスの愛好家の飼い方が、現在の欧米で一般的なものなのかどうかは分かりませんが、少なくとも海外の方のいくつかのYouTubeに見られるような、大きなケージに床材を厚く敷いた飼育方法とは全く違っていました。
それから、飼育方法以外で目を引いたのは、野生化の報告です。
世界の様々な地域で野生化したコロニーの存在が報告されていて、それらの詳しい記録が残されているものは非常に少ないとのことですが、イギリスでは1958〜1981年にかけて、ペットショップから脱走したハムスターが野外で繁殖し、八百屋や家庭菜園、花屋などを荒らしているとして苦情が寄せられ、トラップと毒餌で捕獲された事例が7件記載されていました。
日本はイギリスより暖かいのにも関わらず、脱走したハムスターが繁殖した事例を、私は聞いたことがありません。
日本より厳しく思える環境で野生化していて、日本では生き延びることができていないのだとしたら、その理由が若干気になります。
最後に、なぜこの本の情報が日本で広まっていないのかといえば、端的に言って、本の価格が専門書並であるからではないかと思います。
実際、専門書と呼べる情報量ではあるのですが、遺伝を学び、繁殖を行い、ショーに出展するといった予定のない飼育者にとって、本書のうちの3分の2は全く生かす機会のない内容になると思います。
また、繁殖についての情報が具体的過ぎるため、図書館に置いて、普及させてほしいとも思えないです。

Re: 野生のハムスターに関する先行文献 2
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- 山登魚
ふと思ったのですが、ここまで根気よく長文を読み進めてくださった方は、動物学に関心があると思いますので、もしよろしければ学会に顔を出してみたらいかがでしょうか。
年会費は多少掛かると思いますけど、発表せずに、ただ人の発表を聞いて質疑応答に加わるいるだけでもいいですし、何なら聞いているだけで、資料を持ち帰って家でゆっくり読んでみるのもいいかも知れません。
私は学会(動物学ではありません)に出席すると、日本語以外は理解が怪しく、ひたすらメモを取って、後で読み返したり(しなかったり)しています。
会場で研究者の方々と、直にお話できる機会もあるかと思います。
日本動物学会

Re: 野生のハムスターに関する先行文献 2
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- 山登魚
補足です。
上記の学会への入会資格は特にないようです。
一般会員より教員・学生の資格がある方が会費は安くなっています。
学生というのは大学生を想定しているとは思いますが、高校生が発表する機会もあるので、年齢制限もないかも知れません。
引用:
入会について
動物学会は研究者や学生のみではなく、広く一般の方に会員になっていただくことができます。中学・高校の教員の方には、特別会費の設定があります。

Re: 野生のハムスターに関する先行文献 2
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- 山登魚

Re: 野生のハムスターに関する先行文献 2
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- 管理者
いつもありがとうございます。
「山登魚」さんの引用:
ショーというのは、主催団体が理想とする美しいハムスターを審査、表彰する品評会のことです。
昔見た映画で、「お前の人種は何でも競いたがるよな」みたいなセリフを思い出しました。これも国民性の違いですかね。
私からすると、どんな長所や短所があっても、うちの子が一番でいいんじゃないの?と思いますが。
「山登魚」さんの引用:
具体的には、30×30cm(繁殖用は30×40cm)以上の小さなケージを多数収めた、スライド式またはキャスター付きの棚をハムステリーに設置し、照明やヒーターはタイマーやサーモスタットで設定するなど、厳密に管理した飼育環境を基本としていて、巣箱は必須ではなく(この辺りはブリーダーらしい飼い方かと)、床材はカンナクズを2cm敷くとしていました。
文献より100年近く経ってるので、ハムスターもペットとして進化し、地域によってエサの原料も違うのだと思いますが、この手の論文を読むと、繁殖ってそんなに難しいことだったの?とか思いますね。
我が家では平均産仔数以上の子供が生まれましたし、里子に迎えるためお伺いしたお宅でも、生まれ過ぎて困ると嘆いていました。
「山登魚」さんの引用:
日本より厳しく思える環境で野生化していて、日本では生き延びることができていないのだとしたら、その理由が若干気になります。
当時だと野性味が強かったことと、湿度と天敵の存在もありますね。
飼い方がうまいと、呑気なハムスターの性格が強く出てしまって、天敵に瞬殺されてしまうことも関係ありそうですし、野外でハムスター見つけると、連れて帰ってしまう人も多そうですし。
「山登魚」さんの引用:
ふと思ったのですが、ここまで根気よく長文を読み進めてくださった方は、動物学に関心があると思いますので、もしよろしければ学会に顔を出してみたらいかがでしょうか。
行きたいです!が、私はサイトの更新すら滞ってます。
「お金がある人はお金を、時間のある人は時間を、両方がない人は理解を」がボランティアの基本ですが、理解のある人は精一杯な人が多いですね。
私は知識と技術でサポートかな?
「山登魚」さんの引用:
年会費は多少掛かると思いますけど、発表せずに、ただ人の発表を聞いて質疑応答に加わるいるだけでもいいですし、何なら聞いているだけで、資料を持ち帰って家でゆっくり読んでみるのもいいかも知れません。
資料として読む分はいいですけど、飼い主とは生き物としての関わり方や考え方が違うので、私が専門家のグループに混じってしまうとトラブルを起こしそうです。
私の先輩もトラブルを起こしていますし、私が獣医師や業者に関わろうとしたときも良い反応ではなかったですね。
とはいえ、先輩も私も普通の素人ではないですからね。

Re: 野生のハムスターに関する先行文献 2
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- 山登魚
こちらこそ、いつもコメントありがとうございます。
「管理者」さんの引用:
繁殖ってそんなに難しいことだったの?とか思いますね。
発見当初はハムスターの能力や飼い方がよく分かっていなかったから、逃げられたりコロニーが途絶えたりしていたように思います。
飼育環境が軌道に乗って安定すると、今度は繁殖の可否というより、コントロールの問題になってくるようです。
アクアリウムについては、全く同じことがいえます。
「管理者」さんの引用:
私からすると、どんな長所や短所があっても、うちの子が一番でいいんじゃないの?と思いますが。
同感です。
体が大きく、毛色の美しい個体同士を選んで交配し、優秀な血統の固定化を狙っていくよりも、ハムスターの心身の健康を第一に育てた結果、体が大きくて目が綺麗で毛並の美しいハムスターになった、という形が、私は自然で好きです。毛色とか模様とかは、その子が生まれ持った個性として愛でればいいのではないかと感じます。
「管理者」さんの引用:
文献より100年近く経ってるので、ハムスターもペットとして進化し、地域によってエサの原料も違うのだと思いますが
18世紀末にラッセル氏が見つけたゴールデンハムスターは、頬袋に若いインゲン豆を縦並びにぎっしりと詰め込んでいて、テーブルの上に広げたところ、ハムスターの面積の3倍もあったとの記述がありました。
インゲン豆は中南米原産で、地域に自生する植物ではなく、農作物です。少なくとも食性については発見者の記述でも参考にならないかも知れないと思い始めました。
生物の進化を考えると、ハムスターの胃腸や頬袋は、地域の農業化が進む前の、食料が乏しかった時代に合わせて発達したものでしょうから。
因みに、本の中で公開されていたバランスのよいフードのレシピは以下の通りです。
<バランスのよいフードのレシピ>
- パピーフード (タラの肝油を含む) (24%)
- ヒマワリの種 (12%)
- ピーナッツ (8%)
- 穀類のミックス(小麦、大麦等) (28%)
- エンドウ豆のフレーク (4%)
- オート麦(挽いたもの) (12%)※
- トウモロコシのフレーク (12%)※
※これらは"エネルギー源"となるため、冬以外は量を半分に減らす。
この時代はまだペレットではなく、愛好家は独自のレシピを、一般の飼育者は市販のミックスフードを使用しているとのことでした。
現地に自生する植物は何一つ含まれていないのですが、加工され、保存料等の添加物が含まれたものでない分、発癌性は低いのではないかと期待したくなります。
「管理者」さんの引用:
当時だと野性味が強かったことと、湿度と天敵の存在もありますね。
飼い方がうまいと、呑気なハムスターの性格が強く出てしまって、天敵に瞬殺されてしまうことも関係ありそうですし、野外でハムスター見つけると、連れて帰ってしまう人も多そうですし。
なるほど。イギリスは雨や霧の多い印象でしたが、調べてみると、日本より相対湿度が低かったです(アメリカは言うに及ばず)。
呑気なハムスターを野外で見つけたら、私もきっと連れて帰ります。
「管理者」さんの引用:
行きたいです!が、私はサイトの更新すら滞ってます。
今年の大会は9月4日(木)〜6日(土)、名古屋で開催されることが決まっていて、非会員でも参加できるようなので、興味深い論題があれば、聞きに行ってみたいと思っています(まだ発表者も募集中の段階です)。大阪万博と合わせて予定を組めたら楽しそうです。
「管理者」さんの引用:
飼い主とは生き物としての関わり方や考え方が違うので、私が専門家のグループに混じってしまうとトラブルを起こしそうです。
動物学における研究対象の動物は、経理の方がお金を見るような、割り切った感覚なのでしょうか。
「管理者」さんの引用:
とはいえ、先輩も私も普通の素人ではないですからね。
本当にそう思います。飼育書でも専門書でも、何を読んでも、既にハムエッグに書かれている内容に及ばないものがほとんどでした。
管理者様や先輩ユーザー様方が見聞きし、調べてきた情報の質や量の多さに加え、これまで看取られてきた数多くのハムスターたちが教えてくれたことを無駄なく蓄積してきた証が、このサイトに書かれている内容なのだと思います。

Re: 野生のハムスターに関する先行文献 2
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- 管理者
「山登魚」さんの引用:
逃げられたりコロニーが途絶えたりしていたように思います。
ハムスターに限らず、飼育環境が悪いと逃げようとしちゃいますもんね。
ブリーダーの飼育環境は良い環境とは言えないと思いますが、それでも繁殖して増えるのは、必要以上に構わず、視線や足音などの天敵(人間)からのストレスが少ないからだとも思います。
「山登魚」さんの引用:
体が大きくて目が綺麗で毛並の美しいハムスター
うちのロボロフスキーハムスターはミルワームを欲しがるので、キラキラとフワフワですが、タンパク質の摂りすぎが心配です。
「山登魚」さんの引用:
インゲン豆は中南米原産で、地域に自生する植物ではなく、農作物です。
基本的にハムスターに豆は禁止ですが、インゲン豆にはトリプシンが含まれていないんですね。
インゲン豆はレクチンが多いそうです。
「山登魚」さんの引用:
現地に自生する植物は何一つ含まれていないのですが、加工され、保存料等の添加物が含まれたものでない分
栄養素を計算したわけではないですし、自生している植物だと栄養も違いと思いますが、糖質、脂質が多くないでしょうかね?
日本だとヒエやアワなどの穀類を使った鳥のエサがベースになるので、繊維質が多いと思います。
「山登魚」さんの引用:
興味深い論題があれば、聞きに行ってみたいと思っています
ペット以外にも役に立つかもしれないので、参加できるのなら参加するのが良いと思いますよ。
「山登魚」さんの引用:
動物学における研究対象の動物は、経理の方がお金を見るような、割り切った感覚なのでしょうか。
ペットに限ったことではないですが、仕事になると「割に合わない」ことができないんですよね。
業者だと1%に拘ると不効率ですが、飼い主だと1%しか確率がなくても、助けられるのなら助けたいと思いますからね。
間接的に接している人と、直接接している人との差ではないでしょうか?
ここサイトも、趣味の延長だから方針を変えずに続けられているけど、目的がお金になってしまうと、目を引くための内容になってしまうでしょうし。
「山登魚」さんの引用:
ハムスターたちが教えてくれたことを無駄なく蓄積してきた証が
ジャンガリアンハムスターがタイガーになったらヒーター設置とか、本に書いてないですもんね。
ちなみにその後、ミニタイガーが発動し、ヒヨコ電球を追加したら収まりました。

Re: 野生のハムスターに関する先行文献 2
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- 山登魚
「管理者」さんの引用:
ハムスターに限らず、飼育環境が悪いと逃げようとしちゃいますもんね。
同書ではハムスターが逃げることを前提にしていて、ゆで卵やキャベツ等、匂いの強い食べ物をバケツの中に置き、階段状に平積みにした本を横付けにして、バケツに誘導する仕掛けを紹介していました。
「管理者」さんの引用:
ブリーダーの飼育環境は良い環境とは言えないと思いますが、それでも繁殖して増えるのは、必要以上に構わず、視線や足音などの天敵(人間)からのストレスが少ないからだとも思います。
同書では、ケージが小さ過ぎて運動量が足りない場合に、後肢を引きずる「ケージ麻痺」が起こると述べられていました。
狭いケージで、巣箱も回し車もなく、散歩もできず、他のゴールデンハムスターのケージが多数収められた飼育小屋のストレスはかなりのものではないかと思うのですが、人間に監視・干渉されるストレスは、それを上回るんですね。ということは、ペットショップの環境は、相当のストレスになりそうです。
この30年間で、ヨーロッパの飼育環境が変化しているかどうかも気になっています。
「管理者」さんの引用:
うちのロボロフスキーハムスターはミルワームを欲しがるので、キラキラとフワフワですが、タンパク質の摂りすぎが心配です。
あ、またロボロフスキーの魅力に誘惑されます…
うちでは秋からミルワームのケースを温かい部屋の窓際に移したところ、早くも年明けからサナギラッシュが始まっています。でもこの時期は羽化不全ばかりで、脱皮を手伝ってやってもうまく羽を伸ばせず、すぐにひっくり返ってしまってしっかり食べられず、ゆっくりと時間を掛けて餓死します。色が変わる前にうちのジャンガリアンにあげたほうが、苦しみを長引かせなくていいのかなと迷っています。
病気の症例を除けば、管理者様が撮られた動物たちは、どの子も健康で毛艶がよくて力強く、目もキラキラしていて、ショーがあったら優勝しそうです。ペットの運搬の是非が問われる日本では、ハムスターショーの開催は現実的ではないでしょうけど。
「管理者」さんの引用:
基本的にハムスターに豆は禁止ですが、インゲン豆にはトリプシンが含まれていないんですね。
インゲン豆はレクチンが多いそうです。
インゲン豆の項、読み返しました。膵臓の働きを助けてタンパク質の消化を促すトリプシンがなくて、胃腸や腎臓に負担をかけるレクチンが多いなら、ハムスターが食べていい要素はないですね。捕まったハムスターは、それしか食べ物がなかったのでしょうか。
「管理者」さんの引用:
糖質、脂質が多くないでしょうかね?
日本だとヒエやアワなどの穀類を使った鳥のエサがベースになるので、繊維質が多いと思います。
なるほど、太ってしまいそうですね。うちでは粟の穂や小鳥のエサでも米パフやコーンマッシュでも、おやつにあげると何でも喜んで食べるので、内容は飼い主側が管理しなければいけないと思いました。
「管理者」さんの引用:
ペット以外にも役に立つかもしれないので、参加できるのなら参加するのが良いと思いますよ。
20年前、愛知万博に日帰りで行った時、かなり予定がタイトだったので、今大会は発表されるテーマを見て、参加するかどうか決めたいと思います。
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の中で教えて頂いた某会も、資格を問わず会員になれるようですね。
というか、スポンサーを増やす目的で、会員の間口を広げる団体は少なくないのかも知れません。一般会員の会費はどこも高いのに驚きました。
「管理者」さんの引用:
ここサイトも、趣味の延長だから方針を変えずに続けられているけど、目的がお金になってしまうと、目を引くための内容になってしまうでしょうし。
エサや床材等の消耗品について、私はいつもお世話になっている複数のネットショップでまとめ買いしがちなのですが、管理者様が自腹を切ってサイトの維持費を負担しないで済むように、できる範囲でリンクから買うようにしようと反省しました。
「管理者」さんの引用:
ジャンガリアンハムスターがタイガーになったらヒーター設置とか、本に書いてないですもんね。
ちなみにその後、ミニタイガーが発動し、ヒヨコ電球を追加したら収まりました。
あ、遂にミニタイガーのケージにもヒヨコ電球を付けたんですね。
うちでは、去年までは上部ヒーターも稼働していたのですが、今年は下に敷くシートヒーターの面積が広がったせいか、ヒヨコ電球が全く点灯しません。この時期に点灯しないなら、もう永久に付かない気がしてきました。

Re: 野生のハムスターに関する先行文献 2
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- 管理者
「山登魚」さんの引用:
同書ではハムスターが逃げることを前提にしていて
昔、野良ネズミをプラケで飼っていたことがありますが、ケージに穴を開けて逃げられてしまいました。
子供の頃から飼っている個体とは違って、元の環境に戻りたいと思うでしょうし、人間が怖いと知っている個体なら、ハムスターでも逃げてしまうのでしょうかね?
「山登魚」さんの引用:
同書では、ケージが小さ過ぎて運動量が足りない場合に、後肢を引きずる「ケージ麻痺」が起こると述べられていました。
精神的なことではなく、ギプス固定後にリハビリをしないときのような、関節拘縮なんでしょうかね?
ケージの中の広いスペースに、隠れ場所を作るために空き箱を置いたりすると、障害物を除けるためにクネクネ歩いてきたりジャンプして乗り越えるのは、健康にも良さそうですね。
「山登魚」さんの引用:
でもこの時期は羽化不全ばかりで、脱皮を手伝ってやってもうまく羽を伸ばせず
我が家だと、この時期ハムスターとミルワームを飼っている部屋の室温は、平均10~15度くらいなのですが、時々サナギになる個体がいる程度で、羽化まではいかないですね。
「山登魚」さんの引用:
管理者様が撮られた動物たちは、どの子も健康で毛艶がよくて力強く、目もキラキラしていて、ショーがあったら優勝しそうです。
私があまり相手をしないから、私が近くにいるときは感覚器官をフルに使っているのではないかと思ってます。
「山登魚」さんの引用:
捕まったハムスターは、それしか食べ物がなかったのでしょうか。
よく慣れたハムスターは、人が手に持っている物は何でも食べ物だと思ってしまうくらいですが、逆に強くストレスを感じている個体は偏食しがちですからね。
「山登魚」さんの引用:
の中で教えて頂いた某会も、資格を問わず会員になれるようですね。
昔は、素人お断りのマニア集団だったんですがね。
「山登魚」さんの引用:
スポンサーを増やす目的で、会員の間口を広げる団体は少なくないのかも知れません。
実際には業者からの協賛金なのかもしれないですね。
ボランティアするにもお金は必要だけど、お金が絡んだり組織が大きくなると、目的が変わってきたりするので、情報を得るときは何が目的か、そうすることで誰が得をするのかを、注意した方がいいですね。
本来の税金の使い方なんかも、毎日ニュースになってますからね。
「山登魚」さんの引用:
できる範囲でリンクから買うようにしようと反省しました。
同じモール内なら他店や別の商品を買っても紹介料が入るので、地味に助かってます。
衝動買い程度に有効期間が短くなって、小さいサイトが減った理由にもなってますけど。
「山登魚」さんの引用:
あ、遂にミニタイガーのケージにもヒヨコ電球を付けたんですね。
投稿しようと写真撮ってますが、文章の準備ができてないです。

Re: 野生のハムスターに関する先行文献 2
投稿日時:
- 名前
- 山登魚
「山登魚」さんの引用:
ゴールデンハムスターも薄明薄暮性だとすれば、(中略)同じ部屋で一緒に暮らす動物も、深夜活発になるジャンガリアン等のハムスター(野生下の夜間は過酷過ぎて、よほど捕食者が少ないのでしょうか)よりも、ウサギや昼行性の動物(人間も含む)のほうが夜中静かに眠れて、
上記は前トピックでの書き込みですが、今更ながら気付いたので訂正します。ジャンガリアン等、その他のハムスターについても、現時点では夜行性か否か断言できないですよね。それに、
「管理者」さんの引用:
私があまり相手をしないから、私が近くにいるときは感覚器官をフルに使っているのではないかと思ってます。
人間がストレスになるのなら、やはりケージの設置場所や接する時間には考慮が必要だと思いました。
「管理者」さんの引用:
昔、野良ネズミをプラケで飼っていたことがありますが、ケージに穴を開けて逃げられてしまいました。
管理者様の飼育部屋にいたネズミの子は、可愛くて毛並みが綺麗な上に、すごく敏捷で力強かったですね。
うちでも高校時代、自分に割り当てられた解剖用のマウスを兄弟が連れ帰ってきて、案の定、全く世話をしなかったので、私が飼っていたことがあります。
クルミの殻を自力で割れず、トイレを覚えず、散歩に出しても嫌がってすぐにケージに帰ってしまい(シマリスが怖かったのかも知れません)、生きる力が弱かったです。
「管理者」さんの引用:
人間が怖いと知っている個体なら、ハムスターでも逃げてしまうのでしょうかね?
ブックトラップは、脱走したハムスターの仕掛けを使って捕まえる方法にも載っていましたね。その飼育書の著者の方は、イギリスの飼育書を参考にしたのかも知れません。
「管理者」さんの引用:
精神的なことではなく、ギプス固定後にリハビリをしないときのような、関節拘縮なんでしょうかね?
こちらも既に、
回し車やケージが原因で体が麻痺するの中で、専門家の方同士で議論されていて、ハムエッグで大きい回し車を勧めている論拠の1つだと思いました。
「管理者」さんの引用:
我が家だと、この時期ハムスターとミルワームを飼っている部屋の室温は、平均10~15度くらいなのですが、時々サナギになる個体がいる程度で、羽化まではいかないですね。
うちでは去年まで夜間置いていた玄関がその位の温度なのですけど、日当たりは全くなく、置き場所はまだ検討の余地があると思いました。
年明けに羽化したのは5〜6匹で、サナギは今数えたら89匹いました。幼虫もサナギも、暖かい時期と比べて成長はゆっくりしています。
「管理者」さんの引用:
強くストレスを感じている個体は偏食しがちですからね。
先代のジャンガリアンハムスターをお迎えする時、ショップで勧められて、ペレットと一緒にミックスフードも購入していたのですが、好きなものばかり食べてそうでないものはずっと残っていたので、ミックスフードはその一袋で終わりにし、次からはネットで、特に好きだったヒマワリの種と米パフ、コーンマッシュを単品で購入していました。
先代の子には、はじめのうちよく噛まれていたのもあり(だから売れ残っていたのかも知れないのですが)、今思えばストレスを溜めていて偏食していたのかなと思いました。
「管理者」さんの引用:
昔は、素人お断りのマニア集団だったんですがね。
ますます魅力的ですね。
うちから車で6分の場所にD施設があり、一度行って、お会いしてみたいと思っています。
「管理者」さんの引用:
実際には業者からの協賛金なのかもしれないですね。
なるほど、取引先であるメーカーからの協賛金があると、歯に衣着せぬ発言はしにくくなりそうです。気を付けたいと思います。
「管理者」さんの引用:
同じモール内なら他店や別の商品を買っても紹介料が入るので、地味に助かってます。
新たに飼育頭数を増やさない限り、単品で送料無料になるような高額用品は購入しないので、そのような仕組みであることを教えて頂けると、安心して好きなショップでまとめ買いできます。
「管理者」さんの引用:
投稿しようと写真撮ってますが、文章の準備ができてないです。
たまに新しい記事が出るのも、読み返していつの間にか少し変わっていた記事を発見するのも楽しみにしています。

Re: 野生のハムスターに関する先行文献 2
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「山登魚」さんの引用:
クルミの殻を自力で割れず、トイレを覚えず、散歩に出しても嫌がってすぐにケージに帰ってしまい(シマリスが怖かったのかも知れません)、生きる力が弱かったです。
チャイニーズハムスターに関してもですが、動物の扱いに慣れていない人が扱いやすい(大人しい)個体は、実は弱い個体ではないのかと思ってしまいますね。
ふれあい動物園の個体が早く亡くなることも、人間に逆らう気力がないのかもしれないですし。
ついでに、ハムスターではクルミの殻やピスタチオの殻は割れないです。
「山登魚」さんの引用:
その飼育書の著者の方は、イギリスの飼育書を参考にしたのかも知れません。
多分そうですね。古いの飼育書でも、何度か見たことがあります。
「山登魚」さんの引用:
回し車やケージが原因で体が麻痺するの中で、専門家の方同士で議論されていて、ハムエッグで大きい回し車を勧めている論拠の1つだと思いました。
ゴールデンハムスターだと冬の4ヶ月くらい、巣箱に引きこもって、散歩どころか、たまにしか回し車を回さなくなります。
ペットとして飼われている個体だと、体が鈍らない様に、自分でコントロールしているんだと思います。
「山登魚」さんの引用:
そのような仕組みであることを教えて頂けると
推し活や投げ銭とかなかった時代は、そうやって応援してたのを思い出しました。

Re: 野生のハムスターに関する先行文献 2
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- 山登魚
「管理者」さんの引用:
ふれあい動物園の個体が早く亡くなることも、人間に逆らう気力がないのかもしれないですし。
先週立ち寄った隣県の公園内にはふれあい動物園があり、そこでふれあえる動物のうち、モルモット、ゴールデンハムスター、ハツカネズミ、ヒヨコについては、この時期は寒いためお休みになっていました。
一方、シマリスの展示エリアには、正午近い温かな時間帯に1匹だけ出てきていて、冬眠しない種類なのかなと思いました。
「管理者」さんの引用:
ついでに、ハムスターではクルミの殻やピスタチオの殻は割れないです。
うちにはオニグルミにも使えるくるみ割りがあるのですが、ここ数年、殻付きのくるみを全く買っておらず、たまに人間用のヘーゼルナッツの殻を割るくらいです。
「管理者」さんの引用:
ゴールデンハムスターだと冬の4ヶ月くらい、巣箱に引きこもって、散歩どころか、たまにしか回し車を回さなくなります。
ペットとして飼われている個体だと、体が鈍らない様に、自分でコントロールしているんだと思います。
うちのジャンガリアンハムスターも、お迎えした当初ほど回し車を使わなくなってきました。
散歩は、プラスチック製の茶碗をケージ入り口で見せると自分から乗ってきて(空母の昇降機のようです)、床に降ろすとお気に入りのキャスター下へまっすぐ向かい、満足すると再び戻ってきて自分で茶碗に乗ってくるのですが(一度、気付かなくて、つつかれました)、この頃は降りた瞬間、再び乗ってくることも増えてきました。
行きたくないなら茶碗に乗らなければいいのに、オヤツをもらうためのルーティーンになっているのでしょうか。
さて、昨日はネットで論文を検索しました。
前にアハロニ氏を調べた際、日本語ではヒットしなかったのに、英語表記では幾つか出てきていたことから、今回も英語で入力してみると、あっさり出てきました。
ところが、手始めに、初めて野生のゴールデンハムスターと出会った人物とされるアレキサンダー・ラッセル氏の著作“The Natural History of Aleppo”を入力すると、いきなり電子書籍版がヒットし、全324頁に目を通したところでその作業が途方もないことに気付いて(しかも初版だったようで、ハムスターらしき記述は見当たらず)、とりあえずショートカットしてガッターマン氏の論文から見ていくことにしました。
以下、時系列に沿って内容を紹介します。
引用:
「実験動物における時間帯とさまざまなストレス要因に対するストレス反応」実験動物科学ジャーナル 1997年5月
夜行性ゴールデンハムスターにおける概日(一日の)活動リズムは、消灯後に主なピークを迎える単峰性であった。24時間の平均(+/-SD)は、 心拍数 324+/-18bpm、深部体温37.5+/-0.5℃および活動 114+/-123単位/5分で、メスの平均体温はオスよりもやや高く (+0.4℃)、平均活動レベルはやや低かった(40%)。
ストレス反応は休息時間(つまり明るい時間帯) に著しく強くなり、その結果、ストレス要因の順位は、ハンドリング<膣スメア(膣の奥についたおりものを軽くこすって採取する)<侵入者/居住者との対決<ケージの変更<グループ化となった。性別によるストレス反応の違いはなかった。
引用:
「メスのゴールデンハムスターにおける社会的ストレスの行動と黄体への影響」生理学と行動 2000年4月
単独飼育であったゴールデンハムスターを群れ飼育にし、その社会的ストレスの影響を研究した。
2匹のメスを5週間一緒に飼育すると、群れ内でいつも強い個体が決まっている訳ではないが、攻撃性の強さは発情期に最大となった。実験後、比較対象としての単独飼育のハムスターは体重が3.6%だけ増加していたのに対し、群れ飼育のハムスターは25%増加した。
群れ飼育のメスの血漿プロゲステロン値は単独飼育のメスより60~70%高く、副腎と卵巣の絶対質量は群れ飼育のメスの方が高かったが、相対質量に差はなかった。単独飼育のメスでは両臓器の重量と体重が比例していたが、群れで飼育されたメスでは、体重と卵巣の重量のみが比例していた。
群れで飼育された個体では黄体の数と大きさが増大しており、これが血漿プロゲステロン力価の上昇の原因であると思われる。このことから、群れで飼育されたメスのハムスターに社会的ストレスがあることが分かる。
引用:
「野生ゴールデンハムスターの現在の分布と生態に関する記録」動物学ジャーナル 2001年7月
1997年9月と1999年3月の2回の調査が行われ、 シリア北部にゴールデンハムスターが現在も生息していることを確認した。アレッポ近郊の様々な場所で、メス6匹とオス7匹が捕獲された。 メス1匹は妊娠しており、6匹の子を出産した。
合計で30個の巣穴が見つかり、そのうち23個の構造が調査された。居住可能な巣穴には、成獣が1匹のみ、巣穴の深さは36~106cm(平均65cm)だった。構造は単純で、巣室に通じる垂直の入口が1つと、さらに少なくとも1つの餌室があった。巣穴全体の長さは平均200cmで、最大900cmまで伸びることがある。巣穴のほとんどは農地で発見され、マメ科植物の栽培地が優先された。
19匹のゴールデンハムスターはすべてドイツに移送され、アレッポ大学から提供された3匹の野生個体とともに新しい繁殖種を形成している。

Re: 野生のハムスターに関する先行文献 2
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引用:
「野生および実験室のゴールデンハムスターの同調および自由走行条件下での活動リズム」2001年12月
ゴールデンハムスターの非常に堅牢な概日活動リズムは近親交配の影響なのか、 それともこの種に特有のものなのか、野生ハムスターと実験室のハムスターを比較した。
測定の結果、野生ハムスターと実験室ハムスターは、両方とも非常によく似た活動リズムを示した。全てのハムスターが明暗サイクルの暗い時間帯で24時間の総活動の約80%を示し、毎日のリズムの堅牢性も同様であった。
しかし、両方の測定において野生ハムスターのほうが個体差は多く見られた。全ての動物はほぼ明暗サイクルの暗い時間帯でのみ回し車を使用したが、野生ハムスターは3倍も活動的であった。恒常暗闇で測定された周期の長さは、野生 (23.93時間+/-0.10時間)の方が実験室ハムスター(24.06+/-0.07時間) よりも短かった。光誘発性の位相変化に差はなかった(約1.5時間)。
要約すると、これらの結果は、実験用ハムスターが野生型とあまり変わらないことを示している。
引用:
「ゴールデンハムスターの発情周期の非同期性」ホルモンと行動 2002年9月
ゴールデンハムスターは、群れの中で優位に立つ個体の発情周期と同期化していくと説明されてきたが、最近、J.C. Schank (2000)がコンピューターによるシミュレーションから、周期の同期化を示す証拠はないという結論を下した。そこで長期実験を用いて確認してみると、実際に発情周期の非同期が観察された。
単独で飼育されたメスのゴールデンハムスターは、近隣の個体と同調し、物理的に接触していたが、2~3週間後に4日周期が非同期になった(個体によって、5日周期も見られた)。発情周期の非同期により、受精の可能性が低い場所(冬眠後、劣悪な生息地など)ではメスの生殖成功率が高くなることが明らかになった。
引用:
「野生由来および実験室由来のゴールデンハムスターの体重、身体測定値、臓器重量の比較研究」実験動物 2002年11月
家畜化された実験用ゴールデンハムスターと野生の同種との間の差異を調べるため、両系統の子孫を個別および単性群で飼育した。
様々な臓器の絶対質量と相対質量を測定した結果、実験用ハムスターは食餌摂取量が多いほど体重が増加したが、相対脂肪値は両系統で同じであったため、太ってはいなかった。身体測定値(体長と耳の長さ)ではわずかな違いしか見られなかった。
体重から推測できるように、臓器(脾臓、腎臓、副腎、精巣、精巣上体、卵巣)は実験用ハムスターの方が重いことが分かった。腎臓を除いて、相対値についても同じことが言えた。体脂肪と副腎のみ、両系統で明確な性差が見られた。さらに、集団飼育されたハムスターでは、脾臓、腎臓、卵巣、体長と体重、体水分、体脂肪が増加した。
結論として、実験室で飼育されたハムスターと野生由来のハムスターの間に大きな違いは見られなかった。
引用:
「ゴールデンハムスターの回し車活動と体組成」生理学と行動 2004年10月
回し車での活動の影響を、52週間にわたってオスのゴールデンハムスターで評価した。
実験開始から4か月後、回し車を利用できるハムスターは、利用できないハムスターよりも大幅に体重が増え、摂食量はほぼ2倍、除脂肪量(FFM)、全身水分量(TBW)、粗脂肪量 (CFM)の絶対値が増加した。しかし、これらの絶対的な差とは対照的に、相対値に差はなく、したがって一般的な体組成は回し車活動の影響を受けなかった。腎臓、精巣、精巣上体の絶対値については、異なる臓器質量が設定された。
体調の改善を示す今回のデータから、回し車はゴールデンハムスターの動物福祉を高める有用なエンリッチメント(飼育動物が自然に近い行動を取れるように、飼育環境に工夫を凝らすこと)であるという仮説が導かれる。
引用:
「近親交配の結果、実験室由来のゴールデンハムスターと野生由来のゴールデンハムスターの繁殖成功率に生じた差異について」行動生態学と社会生物学 2006年6月
実験用ゴールデンハムスターはすべて、1930年のきょうだい同士の交配から生まれた。
この極端な創始者効果のため、家畜のゴールデンハムスターは最もボトルネック(ある集団の個体数が非常に少なく、さらにその子孫が再び繁殖することにより、遺伝的多様性の低い集団ができること)になっている動物集団の1つであると考えられているが、家畜のハムスターは、一般的に使用されている繁殖用ストックにおいて、近交弱勢の明らかな兆候を示さない。
潜在的に隠された近交効果の存在を探るため、実験室 (lab) と野生由来 (wild)のゴールデンハムスターの繁殖成功を比較した。発情期のメスを実験室および野生のオス(F1)と連続して交配させ、最後にオスの繁殖成功を、遺伝的変異性、性行動、および異なる精子特性と比較した。
両方のハムスター系統は、遺伝的多様性において予想された大きな差を示した (H wild = 0.7120.062 対 H lab=0.0070.007)。野生のオスの生殖成功率は、 実験室のオスのそれを大幅に上回った(子どもの 87% は野生のオスによって生まれた)。
野生のオスと実験室のオスの性行動の差は、ほとんど見られなかった。実験室のオスの生殖成功率の低下は、その正確な生理学的原因は不明だが、隠れた近親交配の影響であると結論付けている。

Re: 野生のハムスターに関する先行文献 2
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引用:
「ゴールデンハムスターが飼育下では夜行性でありながら、自然界では昼行性であることについて」生物学レター 2008年4月
概日活動リズムは動物の間でほぼ普遍的であり、その特定のパターンはそれぞれの種がその生態的ニッチ(特定の種が利用できる生息場所や時間帯等の環境要因)に適応したものである。実験室でゴールデンハムスターが示す夜間の活動パターンは極めて一貫性があるため、この種は概日リズムを制御するメカニズムを研究するための主要なモデルである。
しかし、実験室のデータとは対照的に、野生のメスのハムスターはほぼ完全に昼行性であることが分かった。
これらの結果は、ゴールデンハムスターの活動パターンを形成する生態学的変数と、実験室と野生の結果の違いについて多くの疑問を提起する。
引用:
「深い床材で飼育されたゴールデンハムスターの概日活動リズムの非同期化」生体リズム研究 2009年12月
野生では、ゴールデンハムスターは深い巣穴に生息している。ここでは、エンリッチメントとしての床材が概日活動リズムに及ぼす推定効果について調査する。
単独で飼育されたオス45匹 (1群あたり15 匹)で、3つの異なる床材の深さ (10cm、40cm、 80cm)を調査した。活動開始は床材の深さが浅いグループでは消灯とよく一致したが、40cmと80cmのグループでは床材の深さと共に活動リズムは自由に進み、中程度及び深い床材のハムスターは、全てが自ら巣穴を作り、その中で生活した。
低床材群のハムスターは明暗サイクルに継続的にさらされていたため、活動リズムを同期させることができた。床材の深さはゴールデンハムスターの概日リズムに影響を与える可能性があり、時間生物学的研究を行う際にはこれを考慮に入れる必要があると結論付けた。
引用:
「野生のゴールデンハムスターの採餌行動」動物行動学ジャーナル 2011年5月
採餌理論では、動物はリスクを最小化しながらエネルギーを最大限に得るべきだとされており、その最大のリスクは通常は捕食である。
2005年と2006年の春、自分たちはトルコ南部の自然の生息地でメスのゴールデンハムスターの採餌行動を記録した。メスのゴールデンハムスターは、平均5.5分間の一連の採餌行動で、1日平均64分間地上にいた。授乳中のメス2匹は、行動回数と各行動の長さの両方を増やすことで、16日間で巣穴から出ている時間を6~8倍に増やした。
これらの結果は、ハムスターが巣穴の外で過ごす時間がほとんどないためリスクが最小限に抑えられることを示しているが、巣穴の外で過ごす時間はハムスターのエネルギー需要と関連していることも示している。エネルギー需要の高い授乳中のメスは、授乳していないメスよりもはるかに大きなリスクにさらされている。
1997年と1999年に野生のハムスターを捕獲したのはガッターマン氏で、この論文だけ閲覧数が突出していました。メス6匹+オス7匹+妊娠していたメスから後日生まれた6匹=19匹ですね。
また、2005年と2006年には、捕獲はしていないものの、野生のハムスターを観察できていたことも分かりました。
巣穴の長さの平均値については、以前大学で見つけた本の中で言及されていたものと異なっており、そちらの根拠論文と発表年も確認が必要だと思いました。
また、巣穴付近にあったマメ科植物について、私が思い出したのは、中世ヨーロッパの三圃式農業に利用されていたクローバーです。三圃式農業とは、農地を冬穀(小麦類)・夏穀(大麦類)・休耕地の3つに区分して、それらをローテーションで使用していく農法で、休耕地にはクローバーを植えて家畜を放牧し、クローバーを食べさせてその排泄物を肥料とすることにより、地力の回復を図るというものでした。
たとえ巣穴付近にあったマメ科植物がインゲン等の農作物であったとしても、マメ科が植えられた農地は栄養が豊富で活力があるので、野生の動植物も、マメを食べる以外の目的もあって集まってきた可能性もあるのではないかと思いました。
また、先に紹介したイギリスの飼育書の著者であるマッケイ氏はゴールデンハムスターが薄明薄暮性であるとしていましたが、ガッターマン氏は野生下においては昼行性、飼育下では夜行性だと論じていました。どちらも正しいと仮定して整合性をつけるならば、マッケイ氏が薄明薄暮性と述べた段階から、10年間で昼行性に移行したということでしょうか。
ハムスターの本能に根差した本来のリズムは夜行性で、ニッチに適応した結果として昼行性を獲得したとしたら、野生のハムスターに夜間どんな危険が生じるようになったのか、もしくは昼間行動することにどのような利点が生じるようになったのか、個人的に興味深いです。
そして(実験に用いた「低床材群」の床材が10㎝というのはさておき)、概日リズムを維持するのに必要な光を感じるために、床材はあまり深くし過ぎないほうがよいという実験結果も、違和感はないながらも興味深かったです。
野生のハムスターの巣穴が光を感じられないほどの深さ(約65cm)であるにもかかわらず概日リズムが狂わないのは、巣穴の外に出た際にリセットしているのだと思うのですが、飼育下でそれが難しいとするなら、ケージの置かれた室内の光量では足りないということでしょうか。
その他に、1つのケージで複数飼育することはストレスも危険も大き過ぎること、巣箱と回し車はあったほうがよいということが、これらの研究結果によって再認識することができました。