ミルワームの飼い方(ミルワームの味・飼う前に)
ミルワームの味
よほどおいしいらしく、臆病なモモンガがミルワームのケージに入って一心に食べてます。
ペットフードなどを一通り食べている私でさえ、虫を食べるのには抵抗があります。しかし、昆虫を食べるのに抵抗のない人からすると、得体の知れない物(添加物や原材料、加工方法など)が入っているペレットを食べる方が抵抗があるらしいです。そう考えると、確かに自分で育てた昆虫の方が安全ですよね。
カブトムシの幼虫はココナッツの味がして、ミルワームはピーナッツバターの味がするらしいです。カニもエビも虫の仲間なので、虫って案外うまいのかもしれません。
実際にミルワームを食べたことのある人の感想は、味付けしていない蜂の子に近いトロリとした濃厚で、砂糖なしのピーナッツバターに近いらしいです。また、自然の生き物なので、蜂の子やザザムシ、イナゴなどの昆虫特有の生臭さがあるらしいです。ハムスターには、野草も好きですし、自然の生臭さが大切なんだと思います。
また、脱皮したての外骨格が固まりきっていない、白いミルワームは喉を通りやすく、サナギにはうまみがあり、白いサナギはかなりおいしいらしいです。病気のハムスターが、喜んで食べるわけです。
ミルワームを与える前に
成長速度
自然状況では4~5ヶ月の期間に、約13回脱皮を繰り返し成虫になり、サナギから成虫になるのは1~2週間かかります。飼育状態が良いと、成長は早く、体も大きく成長します。
昆虫は外温動物なので、温度には敏感で発育に影響が出ます。ペットショップでは成長しすぎないよう、冷蔵庫で保管していることが多いですが、発育不良を起こしやすくなります。普通の温度管理のできない冷蔵庫で飼うと、死亡率が上がるだけでなく、床材にしているパン粉や餌にカビが生えるなどの問題が起こります。その反対に、冬だからといってヒーターで暖めると、温度差で亡くなりやすいです。昆虫は昼に適した生き物なので、日当たりの良い場所で飼えば、冬でも成長が遅い程度で済みます。
また、春が近づくと、いっせいにサナギになるので、春の前は量を減らして飼いましょう。
ダニに気をつけよう
まれにミルワームのケージにダニが入ってしまうことがあります。
ミルワームに限ったことではありませんが、飼育環境が良いと他の生き物にも良くなってしまうので、掃除をさぼったり、ケージを日陰に置かないようにしましょう。
ダニもいろいろいますが、ミルワームがダニを食べてしまうようで、かなり運が悪くないと、発生したことにも気づかないと思います。とは言っても、私は20年飼って1度だけ体験しただけです。
リンとカルシウムのバランス
ミルワームは、リンとカルシウムの比率が悪く、カルシウムの吸収が悪くなるといった話があります。そのため、餌にカルシウムを混ぜるなど必要がありますが、ハムスターに与えるのであれば、そんな面倒はことは必要ないというのが今現在の結論です。
実際に、爬虫類や両生類をミルワームだけで育てると、骨に異常が出るらしいです。しかし、穀物を主食にしない動物にミルワームだけを与えるといった、偏った状況での話です。
執筆時点でミルワームを与え始めて20年近く経ち、それからも調べたり検証したりしましたが、ハムスターに与えるのなら、気にしなくても良いという結論です。
その理由は、ハムスターのような、水分をあまり摂らず、穀物を主食にする動物は、尿路結石ができやすいそうです。カルシウムと結石については、いろいろ説があるのでうまく説明できませんが、私の飼っていたハムスターの中で、骨の異常や結石ができたりせず、食べ過ぎても問題が起こっていないという実体験です。
また、穀物を食べる哺乳類が、穀物を食べる昆虫を食べるといった、ごく自然な習性なので、これも気にしなくても良い理由になります。
さらに、資料によってミルワームの成分のバラツキがあったり、育て方によって成長具合も変わるので、実際に当てにならないといった、何とも根拠の少ない少ない話です。
鳥やモモンガなど空を飛ぶ動物は骨が軽くもろいので、小松菜や大根の葉っぱなどカルシウムが多い野菜を、ミルワームに与えて育てた方が無難です。
ちなみに、ヒマワリの種もリンとカルシウムのバランスが悪いですが、これも与えすぎなければ特に問題はありません。どちらかというと、質の悪いペレットや乳製品の餌の方が怪しいです。
ミルワームの餌
右側がふすまだけで育ったサナギで、左が私が育てたサナギです。
ペットショップで買ったミルワームのパッケージに入っている、薄茶色の粉の正体は、「ふすま」といって「小麦の皮(ぬか)」です。英語で「Bran(ブラン)」といい、朝食などに食べるオールブランのブランです。それなら、栄養があると思うかもしれませんが、ペット用のふすまとは違って、栄養があるように皮と一緒に実も剥いています。しかしそれでも、元々食べる部分ではないので、まずいらしいです。
ふすまでは栄養価が低く、乾燥して床材としても使いやすいこともあり、パン粉を主食として利用します。しかし、パン粉だけでは栄養が偏るため、ハムスターの餌を利用します。
我が家では、粉末にした実験動物用のペレットと、小鳥の餌(ミックスフード)を与え、実だけでなく、ふすまの部分も食べられるようにします。ミックスフードなどの植物の実は、そう簡単には傷まないので、ハムスターが食べ残した物を使うことが多いです。
ミルサーなどで砕いたペレットは腐りやすいので、新鮮な物を利用します。ミルワームにも動物性タンパク質は必要なので、ペレットなら何でも良いわけではありません。タンパク質が足りないと、脱皮に失敗して死んだり共食いの原因になります。
そして、水分補給の為の野菜ですが、これもハムスターが余らせたやや乾燥したキャベツを利用します。昆虫は傷む寸前の物を食べるという習性と、床材にしているパン粉が湿気て腐らないようにするためです。野菜が乾燥しすぎ水分が少ないと、やや成長が遅くなります。