飼い主とハムスターたちの知識の図書館。

走る理由と目的地までの移動経路

回し車や脱走だけではなく、ほふく前進や実験動物での迷路についての記事もあります。
臭いを辿るのか視覚で判断するのか、走ることで何を満たされているのか、日常的に見ている行動にも理由があります。

投稿日時:
投稿者:USER0057

先週からゴールデンハムスター(メス)を飼い始めた初心者です。
毎日のメールの量の多さにめげずについてきております。さて、

はじめまして。
最近新しい方が急に増えて、私もついていくのがやっとです。

私も動物学は専門ではないので、勝手な推測ばかりですが

Q1: ハムスターは、どうして回し車を回しつづけるのですか?

なんかの本では、とにかく走り回ると落ち着くらしいです。
外敵に襲われた時に、とにかく遠くに逃げて逃げて逃げ回って、敵がいない遠くまで走ろうと思うらしいです。
だから驚いた時などは、回し車を高速回転させます。
それ以外の時でも、ストレス発散で回すようです。

Q2: ハムスターは、”知らない空気”のする場所では、慎重ににおいをかぎながらほふく前進しますが、2度目以降は、実に素早く、以前通ったパスをトレースしながら、進んでいるように見えますが、過去のパスは、どうやって、 記憶、認識しているのでしょうか?

ほふく全身した時につけた匂いをたどっているのでは?
自分の匂いがあると安心するようです。
ケージの掃除をしすぎて、匂いが全然ない環境ではストレスがたまるようです。

Q3: ねずみの迷路学習では、ねずみがパスをおぼえているのでしょうか?
そうではなくて、迷路が、ねずみのとおったパスを憶えているのでしょうか?

ねずみは詳しい方が別にいるのでその方が出てくるのを待ちましょう。
でもハムは迷路学習できるほど物事を考えて生きているのかは不明です。

Q4: ハムスターは、どうしてケ-ジから脱走して、知らないところを探検した

やっぱりケージの中に閉じ込められているのがイヤだとか。
うちのゴエモンは、脱走しても、半日もすればちゃんとケージの中に戻ってきます。

投稿日時:
投稿者:USER0066

Q2: ハムスターは、”知らない空気”のする場所では、慎重ににおいをかぎながらほふく前進しますが、2度目以降は、実に素早く、以前通ったパスをトレースしながら、進んでいるように見えますが、過去のパスは、どうやって、記憶、認識しているのでしょうか?

Q3: ねずみの迷路学習では、ねずみがパスをおぼえているのでしょうか?
そうではなくて、迷路が、ねずみのとおったパスを憶えているのでしょうか?
(これを試すには、全く同じ迷路を複数作って、毎回迷路を変えて、臭いが残らないような学習実験をすればわかると思うのですが、そういう実験例はあるのでしょうか?)

一般論として答えるとすれば、においのみを頼りにパスをたどるとは言えません。
水迷路学習というのがありまして、文字どおり水の中を泳がせるんですが、この場合におい(のついた水)は拡散するので、においのみを頼りにしていると全く学習できないことになります。しかし、実際には(視覚を使って)学習します。
さらに私個人的には、ネズミはパスを覚えるのではなく、ゴールの位置を覚えるのだと思います。もし、パス上に障害物があるときは、その障害物をひとつめのゴールとしてそこまで行き、そこで最終ゴールに向かって方向転換をしているように思います。ケージ内だとわかりにくいでしょうが、室内でよく観察すると全く同じところを毎回通っているのではないとわかるのでは?

Q1: ハムスターは、どうして回し車を回しつづけるのですか?

ランナーズハイみたいなもんですかね?

Q4: ハムスターは、どうしてケ-ジから脱走して、知らないところを探検したがるのでしょうか?

「好奇心が旺盛だから」っていうんじゃ答えになってませんね。

投稿日時:
投稿者:USER0025

回し車の質問をした[USER_NAME]です。(長文注意)
[USER_NAME]さん、[USER_NAME]さん、私の素朴な質問に答えていただきましてどうもありがとうございました。

回し車の疑問のきっかけは、”ハムハムハムスター”での回し車の説明で、狭いケ-ジを広く見せるための(錯覚を起こさせる)装置だ、という部分でした。確かに狭い場所でもハムが走り続けられるという機能は理解できるのですが、ハムスターが、自己の行動範囲(パス)をどう認識し、回し車をどう認識(錯覚)して走っているのかを知りたかったのです。

質問の意図としては、まさに[USER_NAME]さんの回答の順序の通りです。
また、[USER_NAME]さんからは、私が知らなかった行動を教えていただきました。

一般論として答えるとすれば、においのみを頼りにパスをたどるとは言えません。
水迷路学習というのがありまして、文字どおり水の中を泳がせるんですが、この場合におい(のついた水)は拡散するので、においのみを頼りにしていると全く学習できないことになります。しかし、実際には(視覚を使って)学習します。
さらに私個人的には、ネズミはパスを覚えるのではなく、ゴールの位置を覚えるのだと思います。もし、パス上に障害物があるときは、その障害物をひとつめのゴールとしてそこまで行き、そこで最終ゴールに向かって方向転換をしているように思います。ケージ内だとわかりにくいでしょうが、室内でよく観察すると全く同じところを毎回通っているのではないとわかるのでは?

水迷路学習は、初めて知りました。解説などをご存知でしたら、教えて頂けますでしょうか。

障害物をサブゴールにして憶えているとすると、結構知的ですね。

飼育書では、ハムスターは近眼であまり視覚はよくない、と書かれていたので、におい中心ではないかと私は考えていました。
ローカルなにおいの探索だけでなく、グローバルな情報(視覚は近眼なので、グローバルなところからの自己以外の過去記憶したにおい)をも手がかりにして行動していると、考えていいでしょうか?

実は、質問のメールを出したあと、家でケ-ジの出口に長方形のトレイを置いて、ケ-ジからトレイを通って、トレイの外へ出るパス行動を観察した結果、トレイ中央部の出口からトレイの左側の角へ進むパスを憶えたので、トレイを180度回転させてみたところ、トレイ状のパスではなく、同じ方向(左側の角)へ進むパスを高速移動モードで進んだので、ちょっとびっくりしました。

[USER_NAME]さんのいわれるように、ローカルなにおいのパスを使っているのではなく、グローバルな情報を使っているようですね。

自分の匂いがあると安心するようです。

グローバルな探索モードで、どういう記憶や行動原理で動いているのかは、これから考えてみます。とりあえずは、ローカルな探索に限定します。

[USER_NAME]の(質問前の)仮説

ハム研などによると、ハムスターは、あまり記憶がなくて、結構目先の刺激に対して反射的に行動しているらしいので、反射行動だけで説明できたほうがよいかと思い、私は当初、以下の仮説を考えていました。

<ハムスターの行動原理仮説>(ヘンゼルとグレーテルの童話と同じ迷路脱出法)

ハムスター(迷路学習するねずみも含めて)は、未知環境内では、自己の行動した経路(以下パスと略す)に自己のにおいをつけながら、知らないところを探索する。(ローカル探索モード)においの付け方は、[USER_NAME]さんの指摘で納得。

ほふく全身した時につけた匂いをたどっているのでは?

2回目以降は、 ローカルには、過去のパス(自己のつけたにおいの軌跡)をトレースして高速移動し(高速移動モード)、特徴点(パスの分岐点や、パスの切れ目、別の刺激がはいった場合、単につかれた場合など)で停止して、グローバルな探索モード(さらに遠くからのにおい(の種類、方向、強さなど)に入る。

Q1: ハムスターは、どうして回し車を回しつづけるのですか?

したがって、回し車では、パスがループしているので、いくら回しても、自己のにおいの刺激がローカルにはいり続けるので、外界から大きな刺激がはいるか、単につかれるかして内的状態の変化が起こるまで、高速移動モードで走り続ける、これが、ハムスターが錯覚?によって、回し車を回し続ける理由かと考えていました。
他には、(リスならば、)単に高いところに登りたいので、登り続けようとして、結果的に回している(ありじごく状態?)という、意見も学生からありました。

なんかの本では、とにかく走り回ると落ち着くらしいです。
外敵に襲われた時に、とにかく遠くに逃げて逃げて逃げ回って、

だから驚いた時などは、回し車を高速回転させます。
それ以外の時でも、ストレス発散で回すようです。

ランナーズハイみたいなもんですかね?

お二人の意見では、走り続けることによって、ハムスターの内部状態(心理状態)が変化し、それが正フィードバックとなって、回し状態を続けさせる、という意味ですね。(やってみたら面白い、ストレス解消になる、思いきり走り回りたい、という本能的欲求をとりあえずは満たしてくれる)

私は、ハムスターには、遊ぶ、という感覚はないかと考えていたのですが、(記憶があまりないから、何回やっても飽きないので、毎日新鮮な気持ち?でパスをトレースし続けて、結果的に回し車を回してしまう)

(だって、20億回しか心臓は動かないのに、錯覚が原因で運動し過ぎになるとしたら、結果的にハムの寿命がちぢまって、飼い主が不幸?じゃないですか)

でも、そうじゃなくて、
一回やってみたら、面白かった(という記憶が残る)から、毎日快楽を求めて、飽きもせずに、回し車を回している(遊んでいる)。(要するに中毒症状の一種ですね)

というのなら、ハムにもメリットがあるようなので、いいかな?
(もっとよくなかったりして)

(遊ぶというのは、(過去の行動の)記憶と、面白い、面白くないという行動の価値基準を必要とする点で、結構高度な知的要素だと、考えています。)

Q4: ハムスターは、どうしてケ-ジから脱走して、知らないところを探検したがるのでしょうか?
やっぱりケージの中に閉じ込められているのがイヤだとか。

これは、ひととおり閉じた環境内を探索しつくしてしまうと、出してだしてをする(ようにみえるので)、観察からわかりますね。

うちのゴエモンは、脱走しても、半日もすればちゃんとケージの中に戻ってきます。

私もこう育ってくれればいいと思うのですが、ある程度探検すると、満足して、住み慣れた家で眠りたくなるのかな。(ハムスター倶楽部の1人め作者の漫画にこういう描写がありました(巣材や餌を外で集めると、ケ-ジの寝床に戻る)

「好奇心が旺盛だから」っていうんじゃ答えになってませんね。

いえいえ、これが基本です。好奇心=知らないこと(ところ)を知ろうとする、というのは、人間を含めてかなりの生物に共通する、行動原理だと思います。
(知らない人といると、緊張するので、相手を知ろうとする)
(か、相手が無害だとわかると、努めて無視する)

私は、ハムスターの未知環境の探索行動は、生存に直結した行動(エサをさがす、敵がいない安全な環境かを調べる、巣材を集めてすみごこちを良くする)が、本能としてプログラムされているからだと、考えているのですが、ケ-ジに、それらのものを一通り用意しておいても、脱出してしまうのは、なぜなんでしょうか?(志しが高くて、向上心があるとか)

単にプログラムされている、ハムスター本来の行動範囲が、半径100m とか、もっと広いのかな?でも、あんまり遠くへいっちゃって、ねぐらにもどってこれなくなったら、まぬけですね。

でもハムは迷路学習できるほど物事を考えて生きているのかは不明です。

うう、また素朴な疑問が!!
考えてるかどうかなんて、観察してもわからないことは、とりあえず無視するとして、帰巣能力を利用すれば、迷路学習をしているようには見えますね。

研究に利用するという名目でハムスター飼育を認めてもらった

投稿日時:
投稿者:USER0034

私が今回参考にしたデータは、アニファとハムスターの本(理学博士宇田川龍男著)です

飼育書では、ハムスターは近眼であまり視覚はよくない、と書かれていたので、におい中心ではないかと私は考えていました。
ローカルなにおいの探索だけでなく、グローバルな情報(視覚は近眼なので、グローバルなところからの自己以外の過去記憶したにおい)をも手がかりにして行動していると、考えていいでしょうか?

ハムスターの本によるとハムスターの網膜には色の波長を認識する錐状細胞がほとんどなく多くは夜行性動物と同じ棒状細胞で構成されています。
そのことから、モノトーンで世界を見ている為離れた動かないものを認識しにくいのではないでしょうか。
ただ近視かどうかは疑問が残ります。近視であれば遠くから飛んでくる外的の鳥を識別できなくなります。

またハムスターの通路習性についても少しだけふれています。
それによると目や匂いではなく、新しい場所に入る時は口の周囲にある感覚毛(ヒゲ)からの情報をたよりにするらしいです。その情報で安全かどうかを学習するらしいとの事です。

お二人の意見では、走り続けることによって、ハムスターの内部状態(心理状態)が変化し、それが正フィードバックとなって、回し状態を続けさせる、という意味ですね。(やってみたら面白い、ストレス解消になる、思いきり走り 回りたい、という本能的欲求をとりあえずは満たしてくれる)

回し車の件はアニファ6号の「親ばか・勘違い動物たちの行動学」のコーナーのコラムに出ています。
危険を察知した時、走っていれば安全だと認識しているため、落ち着きを取り戻すと出ています。

単にプログラムされている、ハムスター本来の行動範囲が、半径100m とか、もっと広いのかな?でも、あんまり遠くへいっちゃって、ねぐらにもどってこれなくなったら、まぬけですね。

ハムスターの本によると行動範囲は巣穴を中心に半径10〜15mくらいだそうです。
あまり遠くへ行くと外敵におそわれた時、巣穴にすぐ逃げ込めなくなるからです。
また巣穴は地下30〜40cmの深さまで斜めに堀り、そこから横に1m〜1.5m続くそうです。
巣穴だけで合計1.5〜2m弱までの長さがあるのですから、ケージの中はすごく狭い環境ですよね。
脱走して探検もしたくなるでしょう。

#ハムスターの本は昭和63年に初版がでたゴールデンハムスターの飼育書です。