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腫瘍ができたら・治療方針・治療方法

病理医と治療方針

人間の医師には、病理専門医(びょうりせんもんい)といわれる人たちがいます。「病理」という言葉さえ聞いたことがない人もいるかと思いますが、医師免許を持つ医者が、経験を積んだ後に、試験を受けて取得できる専門医資格で、細胞を顕微鏡で見て、良性腫瘍と悪性腫瘍の区別をしたりするなど、最終判断は病理医が行います。
大きな病院に行くと、病院に病理医がいることもありますが、小さな病院には普通は病理医はいません。小さな病院の場合は、病理検査を専門に判断をしている病理医か、大学で研究を行っている病理医に、依頼する場合がほとんどで、直接会うことの少ない臨床医は黒子的な存在です。また、病理医がいる病院でさえ、他の病理医に判断を依頼したり、消化器科などの専門医がいるのに、病理医という専門医が必要なのは、顕微鏡で細胞を見る病理診断が、難しいことだということは理解できると思います。

動物にも病理医はいますが、特殊な動物病院でない限り病理医はいないので、大学に依頼することになると思います。
動物病院で何もできないのかというとそうでもなく、吸引生検(きゅういんせいけん)といって、注射針を使って細胞を採取して、顕微鏡で見ることもできます。しかし、細胞は同じ臓器でも場所によって形が違ったりするので、正常かどうかの判断も難しい場合があります。また、注射器で取れるような少ない細胞では、分からないこともあります。
悪性腫瘍の場合は、どんどん大きくなったり、腫瘍が腐ったりするので、吸引生検で少しでも異常が見つかれば、それがガンだと判断できる場合もあるのですが、それが分かっただけでは医療行為から逃げる口実を作ってしまうだけになってしまいます。何が原因で、今後どう対処すればよいのかなど、具体的に知る必要があるのですが、やはり病理医に判断してもらわないと具体的なことはは分かりません。

臨床医に判断してもらうと、悪性腫瘍というザックリしたことではなく、「リンパ腫」や「子宮癌」など、具体的にどこが悪いか、根本的な病原が分かる場合があります。このことで、餌や飼い方が悪かったなどの議題ができるので、今飼っているハムスターや、今後飼うハムスターが同じ病気になることを防げる場合があります。また、助からないことが分かっても、今後どこに転移する可能性があるなども分かることがあるので、苦痛を最小限に抑えることもできます。

腫瘍ができたら

油断していると、急に大きくなることもあるし、致命的な状態になることもあるので、腫瘍を発見したら、急いで病院に行きましょう。
ガンを高確率で完治する方法は、できるだけ早くガン細胞を取り除くことなので、まずは取ることを最優先で考えましょう。

腫瘍を見つけたら、病院で吸引生検してもらって、ガンの可能性があるのなら腫瘍を取ってもらい、取った腫瘍を病理検査で調べてもらい、病理診断の結果から、今後の対策を考えるのが、ベストパターンだと思います。
病理診断には2週間ほどかかるし、効果のない薬を与え続けたりすることで、腫瘍の苦痛に投薬の苦痛も加わり、余計に苦しんだりする場合があるので、できるだけ早く腫瘍が何であるかを調べることが大切です。

体の外からでも分かる小さな腫瘍なら、「おでき」を取るような感じなので、レーザーメスを使ってその場で処置できる場合もあります。
皮膚の下にある腫瘍は、ハムスターなので麻酔は必要になりますが、腕の良い獣医なら取ってくれるので、あわてないように日頃から動物病院を調べておく必要があります。また、ハムスターはガンの進行も早く、1週間迷うだけで致命傷になることがあるので、飼い主の心づもりも貯金の準備も必要です。
生きている間に発見することも難しいのですが、内臓に腫瘍ができた場合は、治療も難しい場合が多いです。ハムスターの手術に、輸血や内臓の摘出などはできませんが、場所によっては方法があるかもしれないので、獣医とよく相談しましょう。

人間のガン治療の場合は、奏功率(そうこうりつ)といって、その後、5年の間にガンが再発したかどうかで、治ったどうかを判断します。ガンとなると、高齢で他の病気になる可能性も高くなり、ハムスターの場合は体の表面に症状が出ていないと、再発しているのかどうかも分かりにくいのですが、治療後3ヶ月以上問題なく生きた場合(人間の年齢換算での5年生存率くらい)に、私は治ったと判断するようにしています。
また、ハムスターのような被捕食動物は、手術の痛みより違和感などのストレスに弱いことを、治療の判断に加えましょう。

薬で治る?

抗ガン剤を使ってガンの治療をすることを、「化学療法(かがくりょうほう)」と言います。
抗ガン剤の理屈を簡単に説明すると、ガンは細胞の異常増殖なので、新陳代謝を止めてしまえば、ガンは大きくならないというもので、抗ガン剤は薬ではなくDNAに致命的な障害を起こす「猛毒」です。
新陳代謝は生きるうえで必要だから行われているのですが、新陳代謝が止まってしまうと、あらゆる所に障害が出てきます。まず、代謝が早い、皮膚、血液、口内、消化器官、毛根、生殖器などに影響が出てきますが、抗ガン剤治療が必要な場合の多い内臓は、代謝が遅いので効きにくいという皮肉な薬なのです。代謝の早い、皮膚、血液、口内、消化器官は、感染症を防ぐために非常に大切なところなので、毛が抜けたり内出血するだけでなく、簡単な病気で亡くなる可能性が高くなります。

ここまで書いておきながら、ハムスター用には抗ガン剤がありません。しかし、犬用の消炎剤でガンに対して効果が報告された薬も(ハムスターへの効果が期待できる薬ではありません)あるらしいので、それを薄めて処方する獣医がいるかもしれません。また、抗生剤(抗生物質)を処方する獣医や、免疫力を高める健康食品を薦める獣医もいます。膿瘍(バイ菌が溜まっている)には効果があっても、ガンには効果がなく、副作用で苦しむだけなので、腕の良い獣医に診察してもらいましょう。
ここまでの記事をマジメに読んだ人は、薬によるガンの治療が難しく、リスクが高い物だと理解できたと思います。ペットの場合は選択肢が少ないので、手術で取り除けない場合は、緩和治療にうつることをオススメします。

本人(本ハム)の体質や生活パターンなどの例外が多く、全く同条件の病気はないですし、本人に複数の方法を試せないので、医療に関して疑わしい情報が常識になっていることが多いので、注意しましょう。
また、衛生的になり、発ガンの危険性があるといわれている、いろいろな物が減っていますが、人間のガンの死亡率は毎年上がっていることも考えて、手軽に手に入る情報ほど疑うくらいがいいと思います。

人間の場合は、代謝の早いところに対して、抗ガン剤の奏功率が高くなっていて、不治の病だった白血病(血液のガン)も治る確率が上がっています。被験者になって亡くなった人や、実験動物のおかげでもあるのですが、ハムスターって実験動物なのに、もっと方法はないものなのかと思いますね。

他の治療方法は?

放射線治療(ほうしゃせんちりょう)といって、高エネルギーの放射線(X線)をガン細胞に障害を与えて、進行を食い止める方法があります。放射線は患部だけに照射できるのですが、ハムスターはじっとすることが苦手で、ガンの苦痛と、治療中の精神的ストレスを考えて、2回くらいで確実に治るのなら、選択肢としてはありだと思います。