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繰り返し手術して論文になったジリス

表題:

短く壮絶な一生


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最初に書きますが、愛だとか、かわいそうだとか、分かり切ったことを書くために、レスをするのはやめてください。むかつくだけなので。

我が家の、二代目リチャードソンジリスの、リチャードが亡くなりました。
過去に、こんな記事もあります。
伝説のポケモン その2
換毛期してますか?
シロヒゲジリス

室内で飼っているだけあって、犬よりかわいがっていたし、異様になついていたので、かなりブルーな気持ちです。ちなみに、ハムスターやモモンガは、部屋に一緒に住んでいるだけなので、かわいがってはないです。どれくらいジリスが、なついていたのかといえば、死ぬ場所を私の布団に選んだといえば、動物が好きな人なら分かると思います。

元々、ペットショップにいたときから、シッポに毛が生えていなかったり、目の上が毛がはげていたり、いろいろと体調の悪いヤツでした。それを知って飼っていたのですが、獣医向けにハムスターの診察方法について講演したりしているくらい、エキゾチックアニマルに詳しい獣医が、「分からない」と言い切ったのを、何度も聞かされたのですが、なついてくると、ペットショップにいたときより、状態がよくなってくるんですよね。多分、精神的に病んでいて、自律神経のバランスがおかしかったのでしょう。
そんな、小さなトラブルを何度も克服して、3歳になったばかりで腫瘍が見つかりました。

最初の腫瘍は、左の頬の裏側に、ほお袋のように腫瘍ができていて、見つけ次第病院へ行って検査をしました。やっと手術の日取りが決まったと思ったら、その日に頬にできていた腫瘍を自分で口から出してしまい、自分で戻せなくなり、血まみれになり鳴いていたので、深夜に病院へ駆け込みました。さすがに、小動物の手術を、当直の獣医だけで行うのは無理なので、栄養剤と鎮痛剤を打って、翌日緊急に手術をすることになりました。
手術は、無事に終わりました。普通は、1日くらい様子を見るために術後入院させるのですが、口の中に傷があるし、性格的に家でないとエサを食べないので、麻酔が覚めた後、家に連れて帰ることにしました。しかし、その翌日に、私の父親(当然人間です)が入院しているホスピス(病院)から、もう1日くらいしか保たないと連絡がありました。家に、手術後のジリスを置いて、私はホスピスに泊まり込み、親父の様子を診ながら、早く家に帰りたいと何度も思いました。いくらペットと肉親でも、可能性の高い方に労力を注ぎたいからです。
ジリスの術後、翌々日の朝に親父が亡くなってしまったので、実質1日だけ家を空けていた状態でしたが、術後直ぐにエサを食べていたのに、私がいなかったことにすねて、エサを食べない状態でした。しかしそこは、人間のことが好きな私のジリスなので、お通夜や葬式で、いろんな人が家を訪れてくるので、いろんな人からエサをもらって食べるので、ホントに手術をしたのかと思うくらいでした。
口にケガをするとダメなので、この手術を期に、ジリスは完全放し飼い状態になりました。普段から、半分放し飼いでしたがね。おかげで、私の布団の中には、常にジリスが寝ている状態でした。

手術から、1週間経ったので病院に連れて行きました。すると、反対側のアゴのあたりに、小さなシコリがあることが分かりました。ここで、腫瘍が転移していたと思ったのが、大失敗でした。手術の後、1ヶ月以内は、普通は手術をしませんし、転移なら同じくらいのスピードだと思ってしまいます。しかし、別の種類の腫瘍が、反対にできていたのです。あまりにも、運が悪すぎるうえ、そのスピードは最初の腫瘍より早く、アゴを覆い隠すように成長しました。腫瘍がアゴを覆ってしまったので、アゴを切除しないとダメかもしれないといわれ、さすがに手術に前向きな私でも、ためらいました。どちらにしても、詳しく調べるためには麻酔が必須だったので、検査してその場で取れそうなら、手術をしようということになりました。
しかし、ここで大きな問題です。2つ目の腫瘍の違和感で、エサを食べる量が減り、体重が激減していたのです。麻酔の抵抗力も付き、麻酔が安定しない上に、やはりアゴを切除しなくてはならないといことが分かりましたが、そのまま手術を続けるのは危険だったので、腫瘍の細胞を採り、病理検査に出すことにしました。
1週間後、病理検査の結果が返ってきました。検査の結果、このまま放置すると腫瘍が大きくなり、エサを食べられずに飢え死にするということが、確実だと分かりました。私の親父は胃ガンで、最終的には餓死でしたし、いくらきれい事を言っても、ペットはエサに困らない以外、メリットがない生き物ですから、飢え死にだけは絶対にさせたくなかったので、アゴを切除してでも腫瘍を取ることにしました。

数日後。状態は更に悪化していて、左下アゴと、左の頬を取る手術です。手術の前から専用のガスマスクを作ったりと、獣医も忙しそうです。しかも、前例もなく、体重が激減している状態ですし、腫瘍の成長の度合いから大きな血管を引っ張り込んでいる腫瘍だから、大量に出血するの可能性があり、普段は優しい獣医も、常にピリピリした状態でした。
私は、ハムスターの手術も見せてもらってますし、医療関係の仕事をしていたこともあるので、なれているはずなのですが、今回はさすがに辛かったです。あまり深く麻酔をかけられないので、時々目が覚めてしまい、手術中に「痛い!助けて!」って私を見て鳴くんですよ。しかも、出血して血が噴き出すし、アゴを切り取られているし。自分の飼っているハムスターのアゴが取れかけて、出血しながら、こちらを向いて、動けずに鳴いている状態を考えてください。戦争映画のワンシーンを、その場で見ている感じでした。鳴き声がする度に、何度か気が遠くなりましたしね。
ちなみに、私が手術室に入って手術を見るのは、飼い主しか判断できないことを、その場で的確に行うのが目的です。手術の後で先生に言われましたが、普通の人は見ないだろうし、女性なら気を失ったり、動揺して獣医に的確に指示できないだろうから、余計にまずい状態になるって。

アゴが無くなり、口の横に大きな穴が空いてしまったので、違和感があるようでしたが、状態を把握したのか、腫瘍の違和感よりはマシなようで、少しずつエサを食べる量が増え、体重が1.3倍くらいにまで増えました。
しかし、その手術から1ヶ月と少し経ち、ノドに小さな腫瘍があることが分かりました。

今回はためらわず、直ぐに手術をして、大きな問題もなく腫瘍を取ることができました。

その3度目の腫瘍の手術前後から、異様に食べるようになり、体重もますます増えて、1週間以上が経ちました。

しかし、何の前触れもなく、下痢になりました。
麻酔をすると、ウンチをちびるので、便の検査を行ったのですが、そこでは異常は見つからなかったのです。しかも、かなりひどい下痢で、全く何も食べられなくなり、気が付くと、2日間で、20%くらい体重が落ちました。これは異様だと思い、休み明けの早朝に、病院へ行こうと思いましたが、イヤなことに気づきました。いつもは熱いくらいの体温があるのに、触った感じが親父が亡くなるときと同じくらいの、体温なのです。もう、ダメだとこの時点で悟りました。
動くのも辛そうで、小動物なので後数時間だとわかりました。一緒に布団に入り、手の上で暖めていましたが、安心したように眠り、その1時間後に私の手の上で苦しまずに息を引き取りました。
結局、私が一番イヤだった、飢え死にだったのが、更に辛かったです。

ここ数年で私は、後どれくらいで死ぬのかというのが、自分飼っているペットなら、高確率で分かるようになりました。父親が入院していた、ホスピスの医師や看護師が、死ぬ前日に知らせてきたのも、死期が分かるからなのでしょう。しかし、最後まで精一杯努力したいと思いながらも、それを諦めないとダメだと分かってしまうつらさはありますが、無駄に苦しめないという選択肢ができるという、飼い主の心としては諸刃の剣になってしまいます。

臨床検査をすると、献体を大学に送るので、ペットだけでなく動物の世界全体に医療的な貢献ができます。それを、何かある度行っていたのですが、今回の場合の死因特定となると、癌の転移の可能性があるので、臓器だけではなく死体の全てを大学に提出する必要があると私は判断しました。他のジリスが、同じ苦しみをする可能性を少しでも取り除くために、死因特定をすべきだと思いましたが、正直がんばりすぎたと自分でも思いますし、これ以上、この子にメスを入れたくなかったし、すごい寂しがりの性格だったので、他のペットと同様に、自宅の庭に埋葬することにしました。今回も、庭の柿の木の下に埋めるつもりなので、今年の柿は大きな実ができそうです。

ジリスが亡くなった日は、ちょうど親父の百箇日だったので、最初の手術をして100日でしたね。実際には、手術の前に腫瘍が見つかっていたのので、4ヶ月近い闘病生活でしたが、何もしないよりは、確実にクオリティの高い最後を迎えられたと思っています。しかし、ペットショップでの悪い環境、短かった寿命、腕の良い獣医、快復力の高さ、短期間にできた違った種類の腫瘍。何が運が良くて、何が運が悪かったのかも、ジリス本人には聞けないので、こればかりは分かりません。

手術やら検査やら、できることは必ず行って、情報を活かさないと無駄死にになるので、常にフルセットでお金を使いましたが、今回の件で20万円近くかかり、私の生活費が無くなったので、久しぶりに借金をしてしまいました。珍しい事例ということで、獣医や大学にも協力してもらったのですが、それでも安い費用ではないです。実際には海外物のベビーフードを買ったり、それを保管するために冷蔵庫をかったりと、もっとお金を使ってますがね。
しかし、ここまで、重なることもないだろうけど、いざというときのために、5万円は手術費や検査費に、それと直ぐに判断ができるように、知識は身につけた方が良いです。正しい判断を、直ぐにすれば、安く付くだけではなく、ペットへの負担も少ないです。

これは必ず覚えておきましょう。
ニオイが付いただけでも嫌がる動物は、手術の傷の痛みより、腫瘍などの異物がある方がストレスが大きいです。傷の痛みは1週間ですが、異物は一生です。
また、病気を隠す動物は、手術後の痛みや傷も隠すので、病気やケガの治りが早いです。人間みたいに、病院のベッドでダラダラ生活せずに、麻酔が切れたら食ってます。食べたら体力が付くってことが、分かっているのです。しかも、げっ歯類は皮膚に弛みがあるので、手術後に傷口が広がる可能性も低いです。

噛まれるだとか、トイレを覚えないとか、考えて解決することで悩めるのは、幸せなんですよ。ホント……。


説明
ミルワームを食べている最中です。舌を出した写真は、あまりないので、これを載せることにしました。
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説明
オヤツをもらえなくて、ファンヒーターの前でダラダラしています。ジリスが寝そべっているところを通らないと、他の部屋に移動できないので、待ち伏せですね。
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説明
死んだときの写真ではないです。一緒に布団で寝ていても、私が起きると起きてしまうので、なかなか写真を撮れなかったのですが、爆睡しているところを撮りました。
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表題:

仏から神に


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ジリスが死んだその日に、担当の獣医にメールで報告しました。
獣医からの返事は、餓死したと理解するのは早すぎるだろうということでした。
言われてみれば確かに、すねて2日くらいエサを食べないこともあったし、体重が激減していたとはいえ、手術をする前より多いくらいでしたから、エサを食べたそうにしていた印象が強すぎて、勝手に私が判断してしまったのでしょう。
けど、エサはいっぱい買ってあるし、いつでも食べられるように用意しているのに、食べたい気持ちは持っていながらも、食べられずにエサの目の前から寂しそうに立ち去る姿を、何度も目撃しているので、この辛さだけは一生忘れられそうもないです。

3度目の手術で取ったシコリの検査結果が出たので、検査報告を聞くために病院へ行ってきました。
そのシコリの正体は、やはり腫瘍でした。
2度目にできた腫瘍が慢性的に増殖していたらしく、肺や他の臓器にまで転移した結果、全身疾患になり、その症状として下痢を引き起こしたようです。以前、担当の獣医が言っていましたが、肺まで来るとお手上げだそうで、治療を打ち切るサインでもあるそうなのです。私が飼っていたジリスは、それ以上の状態になり、患部が分かっていてもどうすることもできなかったのでしょう。
またその時に、獣医が飼っている犬も腫瘍が見つかって、あと半年も生きられないと言っていました。普通の飼い主とは違って、あらゆる手段を知っている獣医が、手の施しようがないと判断してしまうのは、希望が全くないということですから、普通の飼い主以上に辛いことなんだとも思いました。話している最中も、寂しそうでしたし。

獣医から、すごくうれしい話を聞きました。
大学の先生が、リチャードの論文を書いてくれるそうです。この意味が分からない人のために説明しますが、私が飼っていたリチャードソンジリスのリチャードが、小説になるより凄いことです。論文なので、関係者以外は読まない物なのですが、症例として論文が残ることで、今後、世界中のペットや野生動物たちの命を救える可能性を秘めているということです。
死んで肉体は無くなりますが、形を変えて永久に生き続け、生き物のたちの命を救えるのだから、大げさかもしれませんが、仏から神になった感じですかね?こんな積み重ねが、地球を救うきっかけになるんだろうと思いましたし、うちのリチャードは、私より凄いってことですね。「リス吉(普段の呼び名)」に負けました……。

飼い主の気分によって、隠蔽される事実もありますが、事実から逃げないこと、自分に満足しないことが重要だと、今回改めて実感しました。

最後に、将来獣医になる方や、関係者の方も、この記事を読んでいるかもしれませんが、もしその論文を目にすることがあれば、うちのリチャードのことを思い出してあげてください。それが、一番の供養になると思いますから。

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